東芝と清水建設 熱中症対策にIoT活用 ウェアラブル端末で生体データ収集し、作業者の体調管理へ

厳しい残暑が続き、工場内や屋外作業では熱中症対策が欠かせない。水分や塩分の補給、空調服や首に巻く保冷材など熱対策グッズがたくさんあるなか、IoT技術、特にウェアラブル端末を使って作業員の体調管理を行い、熱中症を防ごうという取り組みが、建設業を中心に進んでいる。

東芝と清水建設は8月25日、生体センサを活用した建設作業員の健康管理の実証実験をスタートした。

実証実験では、70人の建設作業員が東芝のリストバンド型生体センサを24時間装着して生活し、睡眠や食事、活動量などのライフログデータを収集。出勤時に各人がそのデータを見て自分の体調を客観的に判断できるようにするほか、同じデータを現場管理者でも見られるようにし、各人の体調に合わせた作業量の調整などにも使えるシステムを開発するという。

すでに清水建設では熱中症対策として、作業員が身につけている計測器で作業現場の温度や湿度を測定できる熱中症危険度計測技術を現場に取り入れている。今回、さらにリストバンド型生体センサを取り入れることで、作業員個人の日々の管理ができ、職場の安全性向上に役立つとしている。

富士通も「バイタルセンシングバンド」というリストバンドを使った作業員の安全管理に取り組んでいる。

富士通ネットワークソリューションズのネットワーク関連工事の現場作業者に、バイタルセンシングバンドを装着。作業者の位置情報や加速度、周辺の温度や湿度などから、作業員が感じている熱ストレスの検知など現場の見える化の実験を実施している。

また農業分野でも同様の実験をスタート。バイタルセンシングバンドを装着した農業従事者が転倒し、一定時間以上起き上がらない場合には家族などに自動で通報。迅速な救援活動の支援や見守りを進めている。

東レとNTTコミュニケーションズ、日本航空の3社は、Tシャツ型の”着るIoT端末”で空港の屋外作業者の体調データを収集する実験を那覇空港で開始。東レとNTTが共同開発した特殊な機能性繊維素材「hitoe」ウェアから心拍数などの生体データを取得し、作業者の体調管理をサポートしている。

またhitoeの活用では、大林組もNTTコミュニケーションズと共同で実証実験を展開中。姿勢などによって疲労度も推定できるという。

製造業や建設業では人材不足が深刻で、屋外など厳しい環境下での作業員が足りないと言われる。企業は採用増加に加え、今いる作業員の離反防止、効率アップという難しい問題を前に、IoTでそれを解決しようとさまざまな取り組みを行っている。現在はリストバンドやTシャツなどに搭載した生体センサや温湿度センサを使った体調管理などが主だが、ビーコンとセットで位置情報を組み合わせて、作業動線など作業効率アップのためのソリューションの開発も進んでいる。

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