これからは製品力だけでなく、保守やメンテナンスも含めたサービス力が大事になる。製品の売り切りビジネスからの脱却を図るメーカーが増えるなか、保守ビジネス分野の利益最大化ソリューションを手掛けるシンクロン・ジャパン(東京都千代田区外神田6―2―8、TEL03―6806―0425、落合克人社長)に「保守ビジネスで利益を生み出すには?」について聞いた。
メーカーにとって自社製品の保守部品は必ず備えておかなくてはならないもの。これまで保守ビジネスと言えば、在庫管理や部品調達をいかに最適化するかという点に注目しがちだった。しかし落合社長によると「在庫管理だけでなく、価格管理にも注目することで利益を生み出すことができる」という。
価格管理とは、製品に最適な価格を付け、状況に応じて柔軟に運用していくこと。ごく当たり前の話だが、実はちゃんと実行できているメーカーは少ない。メーカーの多くがおおむね二つの問題点を抱えている。
ひとつ目が、「メーカーとユーザーの価格に関する考え方の違い」。
多くの場合、売れ筋の汎用的な製品ほど手ごろな価格に設定される。売れない小さなベアリングより、売れ筋商品の大きなベアリングの方が安いケースがよくある。しかし、原価や製造コストで考えると、小さなものから安く、大きくなるほど高くなるのが当然だ。
メーカー側は原価積み上げ方式で価格を決める。しかし、ユーザーは感覚として製品の大きさや品質などを見て価格を推定する。この違いが、ユーザーのクレームや不満を引き起こしている。
「ユーザーとメーカー両方が納得し、WIN-WINになるような価格設定ができれば、もっと利益を上げられる」(落合社長)。
実際に日立建機は同社の価格管理ソリューションを導入し、納得の効果を出しているという。
もうひとつの問題点が「グローバル規模の価格管理」。国や地域ごとに価格設定が行われ、部分最適がほとんど。日本の本社が司令塔としての機能を果たせていない。いたるところにひずみが出ているという。
「これまで海外の価格設定は原価+利益・為替レートで考えられていた程度。これからグローバルで競争していくためには、もっと緻密で柔軟な価格管理が必要になる。本社でしっかりと価格を管理し、それぞれの地域を最適化していくことが大切」(落合社長)。
これからの日本の製造業にとって、保守サービス体制の強化とグローバル展開は生命線。製品販売に加え、保守サービスで利益を取っていくことが重要になる。
落合社長は「これまで新規設備を導入し、壊れたら買い替えてきた中国も、最近は修理して使う傾向になってきた。保守サービスやアフターマーケット市場は確実に盛り上がっていく。当社の得意とする価格管理と在庫管理を組み合わせ、利益最大化に貢献していきたい」と話している。