日本電気制御機器工業会(NECA)は、直流電気を安全に使うための技術を解説した「電気安全ガイドブック-直流電気システムの安全方策-」をまとめた。スマートグリッドの進展など、直流電気の利用シーンが増えるなか、直流電気による事故・障害の撲滅を目指す。
太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーは直流給電との相性がよく、蓄電池とのシステムでも直流電気が使われている。また最新のBEMSやHEMSなどでも直流で受電し、交流と直流の変換数を減らして効率を高めた直流給電システムが普及するなど、直流系アプリケーションが急速に拡大している。
しかし一方で、スマートコミュニティの進展、電源分散化、直流給電の普及などによって電力の需給制御対象が変わり、機器設計やシステム構築、施工、保守など事業者が多様化することで、電気システムのリスクが大きく変化。電気トラブルを原因とする火災や感電などの事故が多く報告されている。
それに対しNECAは、電気安全の関連法規・規程の調査や、直流電気システムの事故事例の収集と電気安全に関する課題などを検討。電気に起因する感電や漏電、火災事故などのリスクを回避するための技術ガイドとして「電気安全ガイドブック-直流電気システムの安全方策-」をまとめた。
電流が集中している電気キャビネットとその周辺の電気安全を適用範囲として、5章だてで電気安全について解説。第1章で背景・目的・適用範囲を示し、第2章で国内の関連法規・規程を整理。第3章で短絡・地絡、感電、雷サージ、接地といった安全上の課題を考察し、第4章で各課題に対応した電気キャビネットの設計指針がまとまっている。最後の第5章で技術解説を掲載している。
NECAでは「一人でも多くの人に安全に関心を持ち、直流系アプリケーションでの電気による事故・障害の撲滅に寄与していきたい」と話している。