日立コンサル IoTを利益につなげるには? 集めるデータの基準づくり、課題解決で成果・利益を継続

S企業がIoTに取り組む上で大事なのは「利益につなげること」。しかし多くの場合、見える化や分析が目的になってしまいがちだ。製造業はどうIoTをビジネスにつなげていけばいいのか?IoTビジネスのコンサルティングサービスを展開する日立コンサルティング(東京都千代田区麹町2-4-1、TEL03-6779-5500、八尋俊英社長)の久野俊一シニアマネージャーと島田洋二シニアディレクターに話を聞いた。

-製造業のIoTをどう見ているか?
単体の工場ではデータを集めてそれを生かすというのは多くの企業が行っている。しかし工場間の横の連携や、現場機器とERPとMESをつなげる縦の連携で成果を出している企業はまだ少ない。情報システム部門がもっと工場内に入り込んでいくことが必要だ。

-IoTで大事なことは?
データのマスターづくりが大事だ。何をするためにどのデータを取るかを判断する基準がないと、やみくもにデータを収集するだけになってしまう。例えば、日本の工場はベテラン技術者の勘と経験に頼っている。技術者が異常に気付き、それを改善していくという形で進めてきた。しかし、海外ではそんな技術者がおらず、立上げ時のサポートが終わってしまうと、工場を安定稼働させるのは難しい。

日本のマザー工場でのナレッジから管理すべきデータを定義してマスター化し、それを海外工場に展開する。IoTで標準化されたデータを収集することで安定稼働や品質の維持ができ、さらには国内外の工場のキャパシティや稼働状況を見える化することで、グローバルなサプライチェーンが可能になる。

IoT、インダストリー4.0という言葉に踊らされ、ビジネスモデルの創造など難しい領域に向かって立ちすくんでいる企業も多い。日本企業にはこれまでの蓄積があるので、自分たちでできることから取り組み、一つずつ問題を解決していくことが重要だ。

S-日立グループではどう取り組んでいるのか?
市場に出た製品の保守・メンテナンスの「サービス革新」、モノづくりの生産性を上げる「生産革新」、機械の稼働データを設計・販売に活用する「設計・マーケティング革新」の各領域でIoTの活用を自社内で取り組み、ノウハウを蓄積している。

それぞれの領域でKPIを設定し、それを実現するための活動プランを描くのが当社の役割だ。一例として、日立建機の建設機械の保守サービスではIoT活用の効果KPIの設定と活用を支援した。定期訪問だけでなく、建設機械の稼働データを使いタイムリーに点検・修理を提案して、サービス価値を高めるのに一役買った。

-今後について。
IoT、インダストリー4.0は未来の姿が描かれているが、そこにいたるプロセスが示されていない。それが多くの人を迷わせている。日本には製造業のノウハウがある。縦割りで分断されたデータに横串を刺してビジネスプロセスの改革を行っていくことがポイント。今ある課題を解決し、成果と利益につなげていくことがIoTの未来につながっていくと考えている。

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