製造業でIoT、インダストリー4.0の話題が盛り上がるなか、財界でもこの潮流に対する意識が変わりつつある。企業のトップがこれからの経済発展にはIoTが必須要素であり、そのなかでも製造工程における効率化が重要と認識しはじめている。政界、財界の理解が深まり、製造業にとって追い風が吹きつつある。
経済同友会の小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)は、9月29日に行われた記者会見で、安倍首相が打ち出した「新3本の矢」に対して、成長戦略のためには投資と労働参加率、新イノベーションが必要であると回答。
特にイノベーションについて「ICT、IT、ロボット、あるいはドイツのインダストリー4.0的なリアルの経済をより効率良くするためのインターネットやセンサーなどを使って、生産性を上げることが必要だ」と述べた。
さらに今の状況を「中国は怪しげ、ドイツもインダストリー4.0といいながらフォルクスワーゲンのような会社もある。『結構、日本はいいじゃないか』『日本はいまから面白いことが起こるかな』と経営者マインドが変わっていくフェーズになっているのかもしれない」と次のステップへの変革時期として捉えている。
また、経団連の榊原定征会長(東レ相談役最高顧問)も、都内で行われた内外情勢調査会の講演で、これからの基幹産業としてIoTとロボット、バイオ分野の育成を挙げ、ドイツのインダストリー4.0に対して日本ではロボット技術とIoTを組み合わせた日本型の第4次産業革命を進めるべきと話した。
財界のトップが公式な発言としてインダストリー4.0に言及するのは珍しく、日本の製造業の復活のカギを握るものとして認識しはじめている。
IoTやインダストリー4.0が製造業の枠を超え、日本経済の成長ポイントとしての理解が広がっている。