オムロンは、2016年度からモノづくり現場でのビッグデータ活用の促進に向け、10万仕様に上るFA機器に情報通信機能を搭載、IoT対応させていくと発表した。第1弾となる機器のカテゴリーは光電センサと近接スイッチで、主要機種に欧米メーカーで対応製品が拡大している世界標準のIO規格(IEC61131-9)「IO-LINK」を搭載していく。
従来、これらのセンサは製品の有無などON/OFF情報のみを出力し、PLCなどに接点信号として取り込むケースがほとんどであった。通信機能を搭載することで光電センサの検出余裕度を上位側コントローラで監視し汚れや光ズレによる誤検出を未然に防止することや、上位側コントローラからの指令で動作オードやしきい値を変更することが可能となり、予知保全や製造装置・工程の稼働状態の自動診断などに役立てられる。
同社ではFA機器を生産する綾部工場(京都府綾部市)と草津工場(滋賀県草津市)の生産ラインで、IoT化に向けた開発に必要な実証実験を進めており、これを踏まえてモノづくりの現場で求められる情報化に対応する製品の販売を順次開始し、2020年までに全てのFA機器をIoT化していく計画。各種センサ機器をはじめ、リレー、スイッチ、電源装置などあらゆるFA機器をIoT化し、FAとICTの融合で製品の品質強化、生産性の向上に加え、予知保全による〝止まらない工場〟を実現するための環境づくりを進めていくとしている。
同社執行役員の池添貴司商品事業本部長は「モノづくりを取り巻くニーズの変化は『”作り方”と”作るモノ”の変化』『”作る場所”の変化』『”作るヒト”の変化』の三つがあり、これらのニーズを満たすために必要な技術革新が急速に進んでいる。『ICTの進化』『ロボティクス技術の進化』『AI技術の進化』というシーズの変化をとらえ、ビジネスチャンスとして広げ、幅広い製品を持っているオムロンだからできる価値提供をしていきたい」と述べた。また、商品事業部企画室の大塚隆史企画室室長は「オムロンの注力領域としては、主にライン/設備の製造現場に近いレイヤーを考えている。上位系とはパートナー企業とのオープン・イノベーションに取り組む。情報化時代のオムロンの方向性としては”制御革新(インテリジェンス)””情報革新(インフォメーション)””人と機械の協調(インタラクション)”の三つの”i”で、製造業のモノづくり現場を革新したい」としている。
同社はモノづくり革新に向けた商品戦略として、DB接続コントローラのエントリーモデル「NJ1-DB」を12月に発売するとしており、IO-LINK搭載機器を含め、センサからコントローラまでオープンな規格で現場のIoT化を推進するソリューションを提供、止まらない工場の実現に寄与していく。