中小企業の持つコア技術の詳細を明確にし、日タイ両国間で産業補完を進めることにより新しいビジネス展開を狙う「お互いプロジェクト」。その国際会議が9月22日と23日、タイで初開催された。民間16社が自社の独自技術・ノウハウを紹介。タイ企業に事業提携を呼びかけた。
立ち上げの契機となったのは2011年の東日本大震災とタイ大洪水だ。この未曾有の自然災害により産業のサプライチェーンが切断。バックアップシステムの構築が急務となるなか、当時、タイ国家経済社会開発委員会の政策顧問だった松島大輔氏が提唱したのが同プロジェクトだった。
それまで業務提携先を見つけようとした場合、事業別・職種別リストはあっても、その企業がどのような技術を持ち、技術レベルがどの程度なのかをまとめた資料は入手困難だった。そこで同プロジェクトでは、各企業のオンリーワン技術・ノウハウなどコア技術を調べ上げ「見える化」することで自然災害時などのネットワーク再構築を迅速かつ効率的に行えるよう情報収集を進めた。
その後、日タイはこのシステムを非常時に限らず常態化し、両国企業のイノベーションを押し進めることで合意。タイ側は、日本の最新技術を導入することで中進国の罠からの脱却を期待している。