産業機器では、作業員のスキルを問わず〝誰でも使える〟がキーワード。グラフィックスやタッチパネルなどを駆使して、直感的で分かりやすい操作が求められている。半導体大手のフリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(東京都渋谷区恵比寿4-20-3、TEL03-3443-5301、ケンリック・ミラー社長)のアプリケーションプロセッサ「i・MX 6」は、これらの表示部・操作部に搭載され、産業機器の操作性向上、ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)の高度化に貢献している。
i・MX6シリーズは、ARMベースのアプリケーションプロセッサで、高性能で動きが軽く、手ごろなコスト感が特徴。信号とグラフィックス、ビデオ処理を得意とし、特に車載用としての実績が有名だ。
インフォテイメントなど情報端末では「世界的な自動車メーカー10社のうち7社に採用されている」(マイクロコントローラ・グループビジネス・デベロップメントMPU 大林久高氏)という。
現在、力を入れているのが産業向け。産業機器のディスプレイやコントローラ、タッチパネルなどに搭載されている。
「産業機器の表示や操作部と言えば、昔は計器や押しボタンだったが、今はそれがタッチパネルに変わり、スマートモニター化している。情報表示や操作を2Dや3Dを駆使したグラフィックで表現するようになり、その頭脳として当社のプロセッサが選ばれている」(大林氏)。
i・MX 6は、シングルコアからクアッドコアまで幅広いラインアップ。いずれもソフトウェア、およびピン互換で、一つのボードを作っておけば複数の製品に対応可能。用途に合わせて最適なものを選べ、開発期間の短縮やコストダウンにも有効だ。
さらに、普及の追い風となっているのがARM製品。ARMコアベースのプロセッサは、これまでスマートフォンやタブレットで多く採用されてきた。IoTの進展に合わせ、多くの機器でARMコアベースのプロセッサが選ばれているという。その上、ARM製品には巨大なエコシステムがあり、さまざまなソフトウェア/ハードウェアが開発されている。産業向けにも多くのシステム・ソリューションがあるという。
産業向けは、サポート体制も製品選びの重要な要素。
同社は「長期供給プログラム」を提供し、産業向けにはリリース後10年間、車載向けは15年間の供給を保証している。
大林氏は「産業機器の場合、10年以上使われるのが当たり前。当社は産業機器のサイクルに合わせて供給を保証している。安心して使って欲しい」と話している。