IFR(国際ロボット連盟)は、今後の世界の産業用ロボット市場について、2018年には40万台に達する見込みであることを発表した。中国や新興国の生産拠点への導入に加え、日本やアメリカ、ドイツといった先進国でもロボットによるオートメーション化で国内の製造業強化を図る動きがあり、産業用ロボット市場は今後も拡大基調で進むと予測している。
14年の世界の産業用ロボット販売台数は22万5000台。15年に25万台を突破し、16年からは毎年15%の成長率で拡大を続け、18年に40万台に達すると予測している。地域別では、中国、日本、アメリカ、韓国、ドイツの5大マーケットで全販売台数の70%を占めると見ている。
IFRのバロンセリ会長は「産業機器の世界的競争がロボット市場の急拡大を牽引(けんいん)している。自動車と電子・電気分野のオートメーション化で64%を占めている」という。
最大の市場である中国では、急速にオートメーション化が進み、ロボット業界史上最も目覚ましい発展を遂げている。
14年の販売台数は、前年の56%増となる5万6000台で世界トップ。18年には世界のロボット販売台数のうち、3分の1となる13万台超を中国が占めると見込む。
その理由として、いま中国経済は減速傾向にあるが、ロボットに関してはまだまだ成長の余地が大幅に残っていることを挙げる。1万人あたりのロボットの台数は、中国では36台で、これは韓国の478台、日本の315台、ドイツの292台に遠く及ばない。今後数年間は中国が世界の需要をリードすると見られている。
また、成熟市場でもロボット産業に大きな成長のチャンスがあることを示しているのが、アメリカとドイツ。アメリカは1万人あたりのロボット導入台数は164台で、オートメーション化によって国内製造業の強化と国内回帰を進めている。またヨーロッパをリードするドイツでも、すでにロボット活用が進んでいるにもかかわらず、14年は10%増の2万100台を販売するなど、拡大基調が続いている。
業界別では、自動車業界は14年に1年間で10万台を導入し、これまでの新記録となった。新興国の生産能力向上とバッテリー製造や自動車向け情報機器といったカーエレクトロニクス関連が支えた。
エレクトロニクス産業も同様に前年の34%増となる約5万台を販売し、これまでの記録を更新。特に家電や情報機器、コンピュータ、医療機器の製造におけるロボット需要が高まっている。
全体として、18年までは製造業のデジタル革新とオートメーション化が産業用ロボットの需要を牽引すると総括。インダストリー4.0のような人とロボットが協働するようなものが普及を推進。新しい用途とマーケットを広げ、中小企業でも大企業と同様にロボットを活用する時代がくると予測している。特に自動車やエレクトロニクスに加え、金属や樹脂、食品や包装業界などでロボット導入が進むだろうとしている。