端子台市場で異彩放つ東洋技研 自社開発機械が威力発揮

「メイド・イン・ジャパン」-国内での生産を頑固に守る会社の1社として注目されているのが、各種端子台を中心に、トランス、配線部品などのメーカー、東洋技研(長野県岡谷市長地権現町4-8-7、TEL0266-27-2012、花岡孝社長)である。

1970年に創業し、今年で45周年を迎えた。

同社の中核製品である端子台は、制御機器総合メーカーから専業メーカー、さらには海外メーカーまで多数の企業がしのぎを削る激戦市場であるが、その中にあって同社の存在は異彩を放っている。

それは、花岡社長の徹底した製品開発と生産設備へのこだわりである。同社の本社工場の生産設備のうち、プレス機械(6台)、プラスチック成型機(20台)、放電加工機(ワイヤ/形彫り9台)、切削機械(2台)は外から購入した機械であるが、その他は花岡社長が考えて自作した機械だ。

例えば、端子台のネジ穴加工を行う自動タップ加工機械、端子台のピース、端子ネジ、圧着端子、バネなどを一体化する自動組み立て機械は、架台からコントローラ、部品供給ラインなどを花岡社長自ら工夫して設計した機械である。

「端子台は付加価値が少ないため、生産コストを抑えられるように、生産機械を外から買わないで社内で作るとともに、人手が極力かからないような自動化の工夫を日夜考えている」(花岡社長)という。このため、社内では「花岡鉄工所」と言われるように、花岡社長は機械の設計だけでなく、自らが鉄骨を溶接したり、切断したりして、自動機を作り上げており、「塗装とメッキ処理以外は社内で行っており、500個以上にのぼる金型も3次元CADを駆使して社内で製作している」(花岡社長)。

ちょうど2年前の11月に、東京で開催された「システムコントロールフェア(SCF)」で、同社は端子台の自動組み立て機械を展示会場に持ち込んでデモを行い、来場者をあぜんとさせた。販売している製品をアピールする場で、それを作る機械を動かし、「じっくり見てほしい」とデモしたからである。そこには、花岡社長の自分の設計した機械への自負があったからだ。

同社は同業の多くが海外生産シフトを強める中で、かたくなに国内生産に固執している。「過去に何度も海外生産の検討で各国を回って調査したが、どこも現在の当社のコストメリットを上回るところがなく、しかも品質、デリバリー面までを加味して総合的に判断すると、当社の本社工場で生産するのがベストである」(花岡社長)。

そのための次の手も打っている。現在約1万7600平方メートルある本社工場の敷地を、約50%増の2万6200平方メートルまで拡張した。2016年度にはここに新工場を建てて生産能力を引き上げる。

売り上げも、今10月期はリーマン・ショック前の50億円に戻ることを見込んでいる。

売り上げを伸ばしていくためには新製品開発が重要だとして、同社は毎年コンスタントに新卒社員を採用するなど、継続した地道な取り組みを進めている。

花岡社長は「社員という人材が一番大事。社員の力を結集して独創的な商品を開発し、当社の存在感を発揮していく。これからも社是の『東洋技研は研究と努力に生きる』を実践していきたい」と語っている。

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