世界規模でリサーチとコンサルティングサービスを展開するフロスト&サリバンは、IoTやコネクテッドデバイスが今後10年間で米国に形成する社会トレンドについて四つの主要項目をまとめた。
一つは「ビッグデータ活用による数値化された社会への移行」。コネクテッドデバイスは2020年までに世界で500億台に上り、うち83%がIoT関連のデバイスになる。ビッグデータやメタデータの活用により、企業は個人の健康状態や買い物、趣味志向などの顧客に関するあらゆる情報の数値化やモニタリングができ、その市場規模は25年までに最大で11兆1000万米ドル規模に達する。あらゆる情報が数値化された社会に移行すると見る。
二つ目は、「ネットワーク文化が形成する社会生活」。米国では86.7%の地域が25年までに都市化し、多くが1980年代初頭生まれの若い世代や移民など都市部で職を求める人々で形成される。家族の分散化によってソーシャルメディアを通じた家族の結びつきを強める傾向があると予想している。
三つ目は「労働のスマート化・人間主体の社会」。米国では医療費の86%が慢性疾患の治療に費やされ、30年までに人口全体の半数以上が肥満になると言われる。雇用主が社員の病気を未然に防ぐ取り組みがより重要になり、従業員の健康的な生活や遠隔での労働環境の整備、健康的で幸福な生活実現を目指すプログラムに向けた助成金など、従業員に向けたインセンティブの充実化が進むとしている。
四つ目は「コラボレーションが公私の生活を形成する」。今後米国では、資産の共有化や、複数企業とのパートナーシップ、社員のスキル開発への投資など、雇用主と従業員間の長期的な関係性が構築されていく。公私におけるコラボレーションを基盤とする社会への移行が進むとまとめている。
同社のパートナー兼ビジョナリーイノベーション部門シニアバイスプレジデントのリチャード・シアー氏は「テクノロジーは場所や時間を問わずにどこでも仕事が行える環境を生み出すことを可能にし、必要なモノの記録や、顧客に向けた競争性も生み出した。バーチャルリアリティは現実として認識され、人間との相互の関係性が再構築されつつある時代に入る」と述べている。同社は「25年の米国の未来」について解説するオンラインセミナーを11月12日に開催する。
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