日本ナショナルインスツルメンツ(東京都港区芝大門1-9-9、TEL03-5472-2970、池田亮太代表取締役、NI)は10月30日、「NI Days」を開催した。そのなかでインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)日本代表の吉野晃生氏とNIのグローバルテクノロジ&マーケティングディレクタのラマン・ジャマール氏によるトークセッション「インダストリアルIoTの技術的課題と展望」を実施。両社のIoTの取り組みについて言及した。
はじめにIoTへの認識について、ジャマール氏がNIのスタンスを説明。「IoTは、産業向けのIIoT(インダストリアルIoT)と、民生向けのCIoT(コンシューマIoT)の二つに分かれる。当社はプラットフォームアプローチでそれらの実証実験、研究開発を後押ししている」と話し、IoTに対応した製品やサービスの開発を支援していることを明らかにした。
次いでインダストリー4.0とIICの違いについて、吉野氏とNIともに「両社とも大きな違いはない。目的は一緒」と同じ認識。それでも「インダストリー4.0はドイツ政府が主導している。IICはアメリカで生まれたものだが、会員は日本の企業をはじめ、世界中から参加している。グローバルでオープンに広がっている」(吉野氏)、「国の考え方の違いは確かにある。ドイツはアーキテクチャー重視で、IICは実証実験からアプローチしている」(ジャマール氏)と違いを説明した。さらにIICとインダストリー4.0の関係について説明し、実際には両者は連携し始めており「IICドイツチームもスタートし、より距離が近くなっていくと思う」(吉野氏)と話した。
日本のIoTの取り組みについては「IoTは地方創生の要」(吉野氏)、「日本企業に期待している」(ジャマール氏)と述べ、ともに日本がIoTでも存在感を発揮できると強調。しかし日本は中小企業の参加の遅れ、IoTが製造業に偏りがちな風潮を課題に挙げる。
吉野氏は「ドイツは国を挙げて取り組んでいるが、日本は大手企業が主導で中小まで広がっていない。製造業が中心になり、他の分野、例えば農業や流通などへの取り組みも大事だ」とし、ジャマール氏も「日本では工場以外のテストベッドを作りたい」と製造業以外の分野への広がりに期待している。
今後のIoTについて吉野氏は「IoTは中小企業が羽ばたくチャンス。単なるサプライヤーから企業のパートナーになるべく、経営者の視点と覚悟が変わることが重要だ」とし、ジャマール氏は「IICの8つのテストベンチのうち、トラック&トレース、マイクログリッド、予知保全の3つのアプリケーションにNIは参加している。当社は国や企業名は関係なく、どういったアプリケーションを提供するかが大事。IoTの実現に貢献していきたい」と話している。