設備設計、製品設計の現場で、3次元データの活用がより活発になっている。最も分かりやすい事例は3次元CADによる製品設計が挙げられるが、レーザーセンサーや、画像処理センサー、それらのデータを処理するソフトウエアの進歩により、「現物の3次元データ化」「生成された3次元データの活用」が注目を浴びている。
産業界向け製品設計開発コンサルティングを手がける富士テクニカルリサーチ(FTR)は、4日、横浜みなとみらい・クイーンズフォーラムで「最先端センシングテクノロジーセミナー2015」を開き、約160人が参加し基調講演や先進事例の発表を行った。
基調講演では横浜国立大学の白鳥正樹名誉教授が「ものづくりとIoT」と題して、IT、MtoM、IoTといった最近の潮流から、コマツ、GE、シーメンスといった先進企業の事例を解説。ものづくり企業において今後は「インターフェイス技術」「アーキテクチャ技術」の重要度が高まることを分かりやすく講演した。
先進事例の発表では、FTR北村友一氏による「3Dレーザー計測データCAD化ソフト Galaxy-Eye点群の新しい活用方法についての提案」などが行われ、点群データの活用法、最新事例が共有された。
レーザー測定器や画像センサー、レーザーハンディスキャナーなどにより取得したデータを、同社ソフトにより3Dの点群データに変換、実際にプラントや製造現場などでレイアウト検討、干渉チェックなどに活用されている事例や、CADデータとしてエクスポートしデータをデジタル化して活用する事例が解説された。
最新バージョンでは、点群のモジュール化や、CADデータを別途インポートし、任意の物体をソフト上で動かす事例も実演。移動ルートの検証や機器設置の干渉チェックに使うことで、手戻りや工数削減につながることも示された。
また、今後のバージョンアップ予定として、高速Viewerファイルの動画出力機能も公開。通常は100億点を超える点群データを扱うため、データの共有が難しいが、動画ファイルとして汎用PCでもイメージの共有が簡単に行える。
現在はプラント業界や建設現場、製造業では自動車(完成車メーカー)を中心に活用が始まっている技術だが、今後スマートファクトリーの実現に向けて他製造業でも利活用が期待される。