OKIは、日産自動車の栃木工場に、低速移動体に対応した「920MHz帯マルチホップ無線ユニット」を納入した。日産栃木工場は、工場内で稼働する無人搬送車(以下AGV)の遠隔での状態監視・制御を行うシステムの通信手段に同製品を採用することで、従来のシステムに比べて70%の機器・配線コストの削減に成功した。同製品は、マルチホップ無線の特徴を生かし、1対1では直接電波が届かない場所でも周辺の他の子機や、電波状態に応じて設置した中継機を経由して通信が可能。レイアウト変更の多い工場内で電波状態が変化した場合でも、最適な通信経路を自動的に選択して通信を行えるため、信頼性の高い無線通信を実現している。
日産栃木工場では、工場内を自律的に走行する約80台のAGVの現在位置やバッテリーの蓄電量、センサーの異常検知などの稼働状態をリアルタイムで把握することが難しく、運用に手間がかかっていた。
これに対し同製品は、個々のAGVに搭載され、工場内に設置した28台の中継機を経由して通信を行い、安定した高信頼の無線通信を実現した。中継機の台数は、従来システムと比べて4分の1になり、導入時のコスト削減を可能にした。日産栃木工場では、今後、工場内で稼働する他の移動機器の遠隔監視制御システムや、工場内のセンサー監視システムなどへ920MHz帯マルチホップ無線の適用を検討する予定となっている。