FA向け機械装置の設計・製造を行うSUSは、先日行われた国際ロボット展で、同社のアルミフレームを組んで作った“からくり仕掛け”の搬送装置を出品。周囲の各社が最先端のロボット技術をアピールするなか、日本の伝統的なからくり仕掛けと改善技術を駆使したオートメーション・省力化を提案し、来場者の喝さいを浴びた。
同社が出品したのは、省スペース型のコンテナ搬送装置。アルミパイプ構造材とパーツ、モジュール製品を中心として組み上げ、ごく一部に小型モータを使った以外はすべてからくり仕掛けで動くというもの。極めて少ない電力で搬送ができる。
AGVがコンテナを運んで所定の位置に入ってくると、その勢いでピストン状になった部品が押され、投入部が開いてコンテナを受け入れ。コンテナは自重でローラ上を滑って移動。コーナー部には方向転換モジュールがあり、そこで90度向きを変えることができる。さらに、エレベータユニットもあり、コンテナが入ってくるとシリンダが糸を引っ張って上部に移動するなど、各所にメカニカルな工夫が施されたものを出展した。
からくり仕掛けの搬送装置について同社静岡営業所の岸本達央所長は「今回はロボットなど最新技術がたくさん出品されるなか、それとは逆にアルミフレームを使ってここまで改善できるという提案をした。日本の製造現場には、このようなからくり仕掛けの装置で改善をしているところがたくさんある。『工程を改善しなければならないが、ロボットは費用が高すぎて導入できない』という人向けに提案をしたかった」と話す。
価格は、本体だけで百万円単位の費用がかかるロボットに対し、同搬送装置は設計・構築費用を除いた部材費だけであれば数万円から十数万円程度だ。方向転換モジュールやエレベータユニットなど、複雑な部分はすでにモジュールとなって製品化されており、必要な部分を自社で設計すればあとは購入して組み立てるだけだという。
また「電力消費がほとんどないので、工場の省エネ化にも効果的だ。省エネ機器の導入など省エネ化が限界だという声もあるが、そうしたところにも有効だ」とし、省エネ効果も期待できるとしている。
その一方で、同社はロボット架台用のアルミ構造材も提案。高速で動くロボットを使ったデモも行った。