「グローバル競争に向けて海外での現地生産を強化する」「新興国の人件費の高騰により国内に生産拠点を戻す」など、日系企業の工場動向について、さまざまな情報が飛び交っている。国内の工場立地数は減少傾向にあるが、本当のところはどうなのだろうか?
各社の動向を調査した。
■ロボット活用進む
2016年1月から2月4日までに、国内に工場を新設する、または生産設備を増強することが判明した企業は37社。投資額も400億円の資生堂を筆頭に、200億円のセイコーエプソン、100億円の日本精工など、大規模な投資が目立ち、分かっているだけでも1000億円以上の投資が行われる。
資生堂は、大阪府茨木市に、現工場の1.5倍の生産能力を持つ新大阪工場の建設に加え、国内外向けの物流機能を持つ「関西統合センター」を新設する。
新大阪工場は、国際規格ISO22716準拠、ロボットと人が協働する最先端の工場になる予定。関西統合センターも最新の物流技術を導入し、ロボットを活用した商品の仕分け、ピッキング、保管が行える効率性の高いピッキングシステムなどを採用するという。
セイコーエプソンの新工場は、広丘事業所内に建設し、インクジェットプリンタのコアデバイスとなる最先端の「プレシジョンコア」プリントヘッドを生産する予定。研究開発機能を備え、生産技術も進化させながら、将来的には同社のプリントヘッドの生産能力を3倍に向上させる予定だ。
日本精工は神奈川県藤沢市の桐原事業所に、100億円を投じてベアリングの新工場を建設する。
分野別では、食品関連の設備投資が目立つ。
三重県伊勢のお土産で有名な赤福は、40億円を投じ、市内の工業団地に製造や物流の拠点を集約する。同社として新工場は42年ぶりだという。
味の素は、川崎市に23億円で調味料のcookDoの生産設備を増強。1月から稼働を開始。
鈴与グループで調味料や飲料を製造販売するエスケイフーズは、焼津市に調味料の研究棟と工場を新設。新商品の開発や品質管理などを強化する予定となっている。
豆腐製造の相模屋食料は、赤城工場を新設。19億円を投じる予定だ。
このほか、増田製粉は米粉の製造工場、フジデリカはコンビニ向け弁当・惣菜の工場を、冷凍食品の極洋、みちのくコカ・コーラボトリング、江崎グリコ、コエドビールを製造する協同商事などが工場建設を予定している。主に国内市場向けの企業が目立っている。