本多通信工業(佐谷紳一郎社長)は、安曇野工場(長野県安曇野市)敷地内にかねてから建設を進めていた「安曇野物流ハブ」がこのほど竣工した。
安曇野物流ハブは「モノと情報の流れを整流化し、多品種少量コンビニを一層進化させる」ことを目的に、「安曇野工場での部品製造と組み立ての中間に配したハブとしての役割を担う」(佐谷社長)。
完成した物流ハブは、鉄骨造り3階建てで、敷地面積約700平方メートル、延べ床面積約1800平方メートル。照明はすべてLED化し、屋上には最大出力50kWの太陽光パネル200枚を設置している。投資額は約3億5000万円。
WMS(倉庫管理システム)を導入した物流ハブでは、①ヒトとモノの動線短縮②収納・ピッキングの倍速化③誰でも素早く簡単にわかる・できることを目指して、出荷回数の多いモノを近くや下段に置き、ピッキング時の出荷指示品の取り出しも、伝票単位から棚単位にすることで効率よく回れるように工夫するなど、スムーズな動線と最適なロケーションサポートが可能になるよう収納場所を最適化している。
また、入荷当日に出荷するモノは棚入れせずに即出荷できるように出荷場に移動させ、Wⅰ-Fⅰに接続したハンディターミナルをフル活用することで、すべての作業が1台で完了する。
同社は多品種少量のコネクターを中核製品にしているが、生産数の94%が月産1万個以下となっている。
そこで「多品種少量だけど、在庫が少ない、納期が早い、手間がかからない」ことを目指して、工場を安曇野と中国・深の2カ所に集約化し、サプライチェーンをコンパクト化した。
また、社内の業務フローを見直して無駄を排除、「おおむね1週間でモノができる」体制を確立。さらに、昨年4月からは24時間可動の多関節ロボット20台を導入した新生産技術の導入などを進めた結果、500品目の製品で「1WEEKデリバリー」を実現し、今年4月から2倍の1000品目に拡充する。同時に在庫量も2000年には1.5カ月あったのが、現在は1カ月と約30%の削減を図っている。同社では1月から多品種少量のカスタム品設計部門社員のうち、4人を安曇野工場に異動させた。
佐谷社長は「設計とものづくりが一体となることでコミュニケーションが良くなり、設計スピードも速くなってニーズへの対応力も強化できる」と効果を期待している。
1月25日の竣工式典には、宮澤宗弘安曇野市長など地元の関係者をはじめ、建設に携わった人や、取引先など約100人が出席し、完成を祝った。