エヌエスティ・グローバリスト(東京都豊島区、山本直社長)は、920MHz無線モジュールを内蔵した「Spred Router-920-MW」を開発、3月から発売を開始する。
新製品は各種センサーの入力を持ち、見通し距離5キロを誇る無線通信モジュール(免許不要)。アナログ入力2ch、デジタル/パルス入力4ch(出力1ch)、クランプ式電流センサー入力4ch、シリアル通信ポート(RS-485またはRS-232C)を搭載しているため、一般的な4~20mAの電流出力機器や、0~5Vの電圧出力機器をはじめ、あらゆるモノのデータを長距離無線で遠隔地に伝送できる。同社の「Spred Router-F/R」と組み合わせて使うことで、3G/LTE回線網や、WAN/LAN経由で取得したビッグデータをクラウド上で管理することも可能になる。
通信機器部の坂本一輝部長によると、ソフトウエアも含めたノイズ処理のノウハウで長距離通信を実現したという。また、「Spred Router-F/R」はLinuxベースでのプログラミングが可能なため、データを上位側のフォーマットにあわせてアップロードができる。要望にあわせた受託開発も行っている。
用途としては、太陽光発電施設の発電量監視、キュービクルの電流・温度監視などのほかに、モーターの振動、温度、電流などを測定し、故障・異常予兆検知に活用することが想定される。製造設備、立体駐車場、自動ドアなどモーターはあらゆるところで使われているため、トラブルが起こり甚大な損害が発生する前に予知するメリットは大きい。
駆動電源はACアダプタのほかに、スマートフォンの充電に使われるUSBタイプのバッテリも使用でき、電源が取りにくい環境下での使用も想定。920MHzを含むサブギガ帯と呼ばれる周波数は通信電波が回り込みやすく、工場など障害物の多い場所に向いており、他のワイヤレスシステムや機械などによる雑音の電波干渉が少なく、信頼性が高いシステムが構築できるため、製造現場のIoT化において注目を集めている。