IDC Japan(東京都千代田区、竹内正人代表取締役)は、国内のIoT市場における用途別・産業分野別の予測を発表した。製造オペレーション、製造アセット管理、輸送貨物管理、スマートグリッド、公共交通/情報システムなどが市場をけん引し、2020年までに年間平均16.9%の成長率で伸長し、13.8兆円に達すると予想している。
同社によると、15年は前年比15.2%増の6兆2232億円となり、これが20年までに倍増の13.8兆円になる見込み。
産業分野別では、製造業を筆頭に、運輸業、公共/公益といった分野が市場をけん引。これらは従来からさまざまな組み込み系の機器/インフラに対して投資の実績がある分野で、同社は、運用効率の合理化やエンドユーザー満足度向上などを実現していくためにIoT活用が不可避になると見ている。具体的には、製造業の製造オペレーションや製造アセット管理、運輸業の輸送貨物管理やフリート管理などの合理化/効率化など。
組立製造、プロセス製造、運輸/運輸サービス、公共/公益、官公庁の五つの産業分野では、予測期間内における年間成長率は16%台後半から17%台で推移し、いずれも20年までに1兆円以上の市場へ成長すると予測している。
成長の背景は、20年の東京オリンピック開催に向けた景況感の上昇に加え、企業の事業部門のIT予算の拡大とIoTへの期待の高まり、技術とコスト障壁の低下、IoT関連の法規制や支援策の変化が影響するとしている。
今後の成長に向けて同社では「ITとOT分野のリソースが必要で、それらをカバーするベンダー間のパートナーシップ拡大が重要になる」とし、さらに「法規制/技術標準化を進める上での政府やコンソーシアムに対する主体的な働きかけや、東京オリンピック後を見据えた新たな産業分野への参入、そしてスタートアップ企業との連携なども視野に入れていく必要がある」としている。