IVI(インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ)は10日、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで、「IVI公開シンポジウム2016 日本のものづくりの未来を拓く!」を開催した。450人を超える参加者が集まり、立ち見が出るほど盛況だった。
同シンポジウムでは、IVIの設立からこれまでの活動成果の報告と、キーコンセプトである「ゆるやかな標準」を活用した「つながる工場」を実現するための、現場起点で考えられた19の業務シナリオの実証実験の結果を報告した。
同会は、2015年6月に52社参加で発足。その後、19の業務シナリオを策定し、それを実行するワーキンググループ(WG)を結成。各WGで実証実験を行い、今に至る。
これを受け、16年度末となる3月末までに、「業務シナリオの解説書」「ゆるやかな標準活用手引き」「IVIリファレンスモデル辞書バージョン1」「ホワイトペーパー『つながる工場(日本語/英語)』」を発行する予定としている。
「業務シナリオの解説書」は、各業務シナリオを解説し、IoTで工場がどのように変わるかを読み物風に仕上げるもの。「ゆるやかな標準活用手引き」は、普及ツールとしての使用を想定したゆるやかな標準の教科書。「IVIリファレンスモデル辞書バージョン1」は、実証実験の活動や情報、データを一覧できる辞書。「ホワイトペーパー」は、IVIのアプローチを分かりやすく説明した対外的な普及のための資料を、日本語と英語でまとめる。
シンポジウムセッションでは、19の業務シナリオの実証実験の結果を報告。セッション1は「つながる工場のネットワークによる企業間連携」と題し、設備間、バリューチェーン内の企業間、バリューチェーン外の企業間連携を実験した。
セッション2は「IoT活用による新たな生産マネジメント」として、生産設備のデータ収集と寿命監視、故障余地、トラブル復旧の運用シミュレーションについて試した結果を報告した。
セッション3では「設計、製造、そして顧客をつなぐプラットフォーム」。製造を起点に、設計とつながる変更情報、BOP、調達とつながるMESとサプライヤ連携などを実証。
セッション4は「IoTによる現場起点、人が中心のものづくり革新」をテーマに、ライン作業員と管理者、保全員、品質保証、生産技術の業務革新の取り組みを紹介した。
このほか、IVIエバンジェリストのアクセル・H・サレック氏による「新たなインダストリー4.0」というドイツ最新事情のレポートや、IVI理事長の西岡靖之氏による「IVIプラットフォーム計画」が紹介された。