アナログ半導体大手、米マキシムは新しいコーポレート事業戦略を策定、全製品事業部とセールス&マーケティングを統括するエグゼクティブ・バイス・プレジデント、マシュー・マーフィー氏が来日し、9日にマキシム・ジャパン(東京都品川区、滝口修代表取締役社長)で発表を行った。
マーフィー氏は大きな変革として、「製品事業部とセールスの統合」「統合・買収、事業売却」「ファブ(生産工場)の移行」「組織の再編」を挙げた。特に生産体制については、オレゴン州に持つ自社工場で約25%を生産する以外にも、日本企業を含めたパートナー企業への生産委託をこれからも積極的に進めていくとした。
戦略として、高性能電源が重要とされる分野に重点投資していくことも明かされた。具体的には産業向け、データセンター、モバイル・ウエアラブル、自動車が明示された。特に産業分野は同社の売り上げのうち6億㌦以上を占め、急速に成長する市場と見て、同社の「発熱が少ない(他社比約50%)」という特性を生かし、産業用電源で他社との差別化を進めると述べた。
さらに、自動車向け製品にも注力。IHS社の調査では、2015年の段階で、アナログ半導体の有効市場規模がスマートフォン向けを上回り、今後も差が広がると見られている。現在も車載向け製品は同社収益の17%を占めており、パワートレイン、ヘッドランプ、スマートエントリーキーに加え、自動ブレーキやパーキングアシストに代表される先進運転支援システム(ADAS)の普及により同社製品のニーズは高まると見ており、オートモーティブ市場の中でも成長性の高い分野に積極投資し、全体の2倍のスピードで成長を目指すとしている。