幅広く産業界で利用されている「ISO9001」。国際標準化機構(ISO)により定義され、品質マネジメントシステムに関する規格として広く認知されているが、2015年9月に従来の「ISO9001:2008」に代わり「ISO9001:2015」に改訂された。
従来との違いとスムーズな移行について、日本規格協会の富田朝仁審査登録事業部長に話を聞いた。
-なぜ規格が新しく?
国際標準化機構が進めるマネジメントシステム(MS)規格は、顧客が要求する製品やサービス提供に関連するISO9001のほか、汚染予防や環境保護に関連するISO14001、事業継続に関連するISO22301など非常に多く存在する。今回の改訂は、全てのMSの根本的な要求事項を共通にしたことから派生している。こうすることで、ISO9001利用企業が、ISO14001を利用するなどの際、容易に要求事項を満たすことができる。
-どこが変わったのか?
大きく「経営」「運用」「仕組み」の三つの観点があると見ている。経営的観点では、組織の課題を明確にし、取り組むべきリスク、機会を決定する必要がある。その課題を克服するためにISOがあるという位置づけになる。運用的観点では、本来業務の中でMSを活用、そのためのリーダーシップが求められる。ISO担当者だけが運用するのではなく、経営者自らが率先して取り組む必要がある。仕組み的観点では従来必須だった品質マニュアルの要求がなくなり、本当に必要な仕組み、手順を徹底するために必要な文書を自律的に管理することとなった。一言でいうと「実務的になった」といえる。小手先のマニュアル化ではなく、経営者が自社の課題に即しまさにMSを構築していくことで、PDCAをまわすことができる組織を作ることが求められる。
-いつまでに対応が必要か?
ISO9001は15年9月15日に国際規格(IS)が発行され、同時に移行期間が開始されている。18年9月に2008年度版が失効するため、それまでに対応が必要だ。あせる必要はないが、早めの準備が大切だ。
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日本規格協会を始め、各認証機関ではセミナーや出版物などを通じ規格改訂のサポートを行っている。
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