日本システムウエア(東京都渋谷区、多田尚二代表取締役)は10日、青山ダイヤモンドホールでIoT Day2016を開催した。同イベントはIoTに関連する基調講演、セミナー、展示で構成され、定員を超える350人以上の参加者を集めた。
冒頭、同社ビジネスイノベーション事業部長竹村大助氏がIoTビジネスにおける自社の取り組みを紹介。提供するIoT/M2Mプラットフォーム「Toami」を中心に、収集したデータを解析するツールを「Toami Analytics」として提供。予測分析、原因分析、相関分析など、集めたデータを価値に変換する分析までサポート可能なことが紹介された。
同社の特徴はシステム構築を手掛けるSIerでありながら、ボード設計、プラットフォーム、組み込みソフトウエア開発までハードを含めたエンジニアが多数在籍している点。したがって、各種センサ(デバイス)からネットワーク構築、IoTプラットフォームの提供から各種カスタマイズが必要なアプリケーション開発などをワンストップで提供できる。さらに、オラクルが提供する課金サービスと提携、IoTサービスをマネタイズするところまでサポートしている。
また、東京大学先端科学技術研究センター森川博之教授による「IoTがビジネスを変える」をテーマとした基調講演も行われた。講演では、かつてPLCの登場が自動車製造業を劇的に変えたことと同等の変化がIoTにより起きつつあり、アナログで存在する物理的資産をデジタル化することでビジネス構造が大きく変革する点などが発表された。
具体例としてアメリカン航空が1960年に開発した座席予約システムの話が紹介された。この事例は従来、顧客がオペレータに電話をして飛行機の座席予約をしていたところを、デジタル化。人件費や予約ミスの削減以上に、ホテルやレンタカーの予約などにも拡張し、旅行代理店の予約システムとして標準の地位を確立し競合他社との差別化につなげた例だ。最終的にはアメリカン航空本体よりも企業価値が高まり、「SABRE(セイバー)」として米NASDAQに上場している。森川教授は、工場などでも同様の物理的資産のデジタル化によるビジネスチャンスがあるのではないかとしている。