横河 ミニマルファブ実用化へラボ開設 半導体生産 期間・コストを大幅削減

半導体の製造方法を大きく変革する「ミニマルファブ」構想が具体的に動き出した。横河電機と横河ソリューションサービスが、武蔵野本社内に世界初のミニマルインキュベーションセンター「横河ミニマルアプリケーションラボ」を1日からオープンし、デバイスの試作やプロセス開発、エンジニアのトレーニングなどに提供を始めた。すでに半導体受託製造会社(ファウンドリー)のネイタス(東京都千代田区)など数社がミニマルファブを使った生産を2016年度中に開始する予定になっている。

「ミニマルファブ」構想は、1988年に産業技術総合研究所(産総研)の原史朗氏が、局所クリーン化技術を用いてハイパーミニプロセスシステムを開発したことからスタートした。その後、10年に「ミニマルファブ技術研究組合」が設立され、現在138社・団体が参加している。

「ミニマルファブ」構想は、半導体生産を「究極のカスタマイズ1個作り」を可能にするもので、従来1~2カ月かかっていた試作期間を1日という超短納期で行い、設備投資も面積がテニスコート1面分ぐらいの省スペースで可能なことから従来の約1000分の1で抑えられるのが大きな特徴。

ミニマルファブは工程ごとに71機種を用意しているが、すべて同じ筺体とユーティリティーにし、周辺機器から原材料まですべて装置の内部に収納することで、クリーンルーム不要で生産が可能になる。省エネ・省資源に配慮し、必要最小限の水、ガス、薬品を使い、1台の装置が150Wの電力で稼働するなどの工夫も行っている。

ミニマル装置の価格は1台平均2500万円。開所した横河ミニマルアプリケーションラボは、広さ約50平方メートルで、半導体製造の前工程を中心に当初はミニマル装置10台を設置し、将来は32台まで増やす。また、ミニマル装置では対応できない工程にはメガファブ装置も用意し、補完することも計画している。

尚、ラボの使用は基本有償で、予約制となっている。

横河はこれを機に、半導体のプロセス開発・デバイス試作から導入コンサルティング、ファブ立ち上げ、運用コンサルティング・保守まで一気通貫で提供する半導体業界初の「ファブ・トータルコンサルティング」にも参入し、地球環境保全に貢献する方針だ。

横河ソリューションサービス山本順二取締役専務執行役員は「当社は社名の通り、お客様にソリューションを提供していくのが大きな目的であり、ミニマルファブは、ミッションにかなう取り組みである。5年ぐらいの間に数十億円のビジネスに成長させたい」と今後の事業展開に期待を寄せている。

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