▼人間の大人は約8兆個の細胞でできていると言われている。人間は、この細胞が生まれ変わりを繰り返すことで健康を維持している。逆を言えば、新陳代謝が行われないと体は老化し、死に向かう。それは社会も同じである。古くからある既得権益が支配的になり、固定化すると、社会の発展は止まる。新しい力が生まれていかないと衰退しかない。少子高齢化が進む日本の社会は、まさにこの負のサイクルにはまっている
▼ソフトバンクは、Makersなど、製造業のスタートアップ企業に向けたものづくり支援サービスを開始した。スタートアップ企業が直面しがちな資金調達や流通、販売の壁に対し、それを解決するためのプラットフォームを提供する。さらに、企画はあるが技術がないという企業のためにはサポート企業を用意。またユーザーや市場の声を聞き、製品企画や設計にフィードバックできるという機能も備えている。製品を作れても流通ルートがない。素晴らしい企画やアイデアを持っていても作る技術がない。そもそも資金がない。そんな人たちが世に出るチャンス、起業や事業化を支えようとしている
▼世界でトップシェアを持っているような日本の有力企業も、50~100年前は小さなスタートアップ企業のひとつに過ぎなかった。同じような時期に、同じような企業がたくさん生まれ、その競争の中を生き残ってきて今に至る。今の日本の製造業の形は、多くの起業に支えられ、新陳代謝を繰り返してきた結果だ。しかし今はそれが停滞している。「衰退か繁栄か」第4次産業革命は、日本の製造業の今後を左右する大きな分岐点となる。再び新たな力が必要となっている。