カーエレを支える最先端のはんだ実装技術 (前篇)
■カーエレクトロニクス、車載部品に求められる技術
自動車の性能・機能性の向上は、カーエレクトロニクス技術なくしてはあり得ません。ハイブリッドカーによって駆動源がモータになったのを筆頭に、これまでメカ技術で動かしていたものの多くが電気・電子技術へと変化しています。さらにはエアバッグやABS、衝突防止装置、カーナビなど新たに自動車に備わった機能のほとんどすべてが電気・電子技術をベースとしており、いまや自動車=電気・電子技術の集合体といっても過言ではありません。自動車の電子制御化が進むにつれ存在感を増しているのが『はんだ付による実装技術』です。車載機器におけるはんだ付は、一般的な電子機器よりもはるかに厳しい品質と信頼性が求められ、特別な技術とノウハウが必要となります。今回は、エレクトロニクス化が進む自動車市場とはんだ付技術について、はんだ付のスペシャリスト・ジャパンユニックスが解説します。
■電子制御が進む自動車
自動車部品に搭載される電子部品の数は年々増え続けてきましたが、近年のハイブリッドカーや電気自動車の登場によって劇的に増加しました。HV化や燃費向上、安全性や快適性など、いま自動車の性能を高めるにはセンサをはじめとした電子部品、エレクトロニクス技術が不可欠であり、今後もその流れはどんどんと加速していきます。
当社は、はんだ付装置の専業メーカーとして40年の歴史があり、自動車業界へも電子制御の黎明期、電子部品が搭載されはじめた頃からずっとはんだ付技術を提供してきました。電子部品があるところには必ずはんだ付が必要であり、自動車の電子制御化が進む今は、まさに当社の技術が皆さまのお役に立てる絶好の機会だと思っています。
■安全装置や快適性など 自動車の電子化は増加
自動車に搭載される電子部品が増えたといわれますが、実際にどの部分で何が増えたかというと大きく四つの分野に分けられます。
一つ目は『HV化にかかわる駆動部分』です。HVやEVになって駆動部にモータが使われるようになり、まずモータとモータドライバが増え、さらに高電圧のメーンバッテリーから低電圧の補機バッテリーに電力を供給する時に使われるDC-DCコンバータ(電圧変換器)、ハイブリッドカーになって数が増えたECU(電子制御ユニット)などが新たに加わりました。
二つ目は『燃費向上にかかわる部分』です。HV化によって今までエンジンで動かしていたものが、バッテリーからの電源供給に変わり、それにともなってさまざまな部品が電化しました。例えばカーエアコンは、これまでエンジンの回転でコンプレッサを回していましたが、HVやEVではバッテリーの電力によってコンプレッサが回る電動式エアコンに変わりました。またエンジン冷却用の冷却水の循環装置に使うウオーターポンプも、バッテリーからの電力で動く電動ウオーターポンプになるなど、大きく変化しました。
三つ目は『安全機能』です。センサが異常を検知したら電気信号を送って機能を発動させます。ABSやエアバッグはこうした電子制御が実現させた象徴的な機能です。わずかな瞬間でこれだけの制御ができるのは電装技術のたまものです。いま話題の衝突防止機能なども電子制御が基本となっており、いずれも数多くの電子部品がそれらの安全機能を支えています。
最後の四つ目は『居住性・快適性にかかわる部分』です。カーナビやカーオーディオ、キーレスエントリー、駐車を補助するバックモニタやコーナーセンサ、さらにはシートの位置調整などもこれに当たります。移動手段としての自動車のメーン機能ではありませんが、移動を楽しむ、ラクにするというニーズは高まっており、これからさらに増えていくであろう部分でもあります。
これらはすべてはんだ付で実装されている電子部品であり、その意味でも自動車の高性能化、高機能化にとってはんだ付は非常に重要な役割を担っています。
■ジャパンユニックス(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
https://www.japanunix.com/index.php