■デジタル革命 自らは不安や危機感
「日本は世界からイノベーションリーダーと評価される一方、自らはデジタル革命には不安や危機を感じている」-IoTやインダストリー4.0で初期の第4次産業革命が進む中、日本の経営幹部はイノベーションに対してどのような認識を持っているのか?。GEの調査により明らかになった。
GEは毎年、世界23カ国の企業幹部を対象として、イノベーションへの認識を調査する「GEグローバル・イノベーション・バロメータ(GIB)」を行っている。このほど、その調査リポートが公開された。
GIBによると、世界の企業幹部は日本をアメリカに次ぐ「イノベーションチャンピオン」と高く評価。ドイツや中国を抜いて2番目としている。資源が乏しい国ながら急成長で世界有数の経済大国になったことを今も評価し、その過程で培われた開発力と、製造管理や品質管理のノウハウなどイノベーション力は、リーダーになる素養があると見ている。
外から高評価を得ている一方で、国内ではイノベーションに対する無関心または後ろ向きの姿勢が目立つ。
第4次産業革命などデジタル革命への関心は、世界では70%が関心あると答えたのに対し、日本は54%。楽観的か悲観的かの設問では、世界は楽観的が68%に対し、日本は33%。不安の有無に関しては、世界は60%が不安はないと答えたのに対し、日本は56%が不安と回答している。
さらにデジタル革命の結果が雇用に及ぼす影響に対しては、日本は「古い仕事がなくなり、新しい仕事が生まれる」が34%、「新しい働き方、柔軟な働き方が可能になる」が27%、「従業員や労働者が楽しめるものとなる」が14%など、全ての回答結果で世界平均を下回り、デジタル革命に対して懐疑的な見方をしていることが明らかになった。
また明確なイノベーション戦略があるかという質問では、「ある」の世界平均が68%に対し、日本は38%。イノベーションに対して長期的な投資回収を受け入れても良いかどうかという問いでは、良いの割合がドイツ40%、アメリカ37%に対し、日本は4%に止まっている。
しかし、一方では着実に意識の変化も見られる。デジタル革命におけるデータと分析の戦略的価値について、価値があると答えた割合は去年に比べて10%増加。協業によるコラボレーションについても4%増加。世界の企業幹部との差は依然大きく開いているが、少しずつ日本の企業幹部もデジタル革命やイノベーションに対しての理解や必要性を感じつつある。