日本電機工業会「16年度技術功績者表彰」三菱電機2氏が最優秀賞 タービン発電機など受賞

日本電機工業会(JEMA)は、2016年度(第65回)「電機工業技術功績者表彰」の受賞者を決め、4月15日に経団連会館で表彰式を行った。

この表彰は、重電部門・家電部門・ものづくり部門の各分野において、新製品・新技術開発などによって優れた成果を挙げ、電機工業の進歩発達に貢献した人を表彰しており、1952年以来、毎年実施し今年で65回目となる。

今年度は正会員企業39社から113件(217人)の推薦があり、最優秀賞1件(2人)、優秀賞3件(6人)、優良賞21件(41人)、奨励賞63件(120人)の、合計88件(169人)が受賞した。また、委員会活動については2件(44人)の推薦があり、優秀賞1件(18人)、優良賞1件(26人)が受賞した。

最優秀賞は「世界最大出力900MVA級水素間接冷却タービン発電機の製品化」で、三菱電機の古賀清訓氏と佐古浩氏が選ばれた。

タービン発電機は火力発電プラントなどで使われており、世界的な電力需要の高まりを背景に、自然資源のさらなる高効率利用と電力の安定供給のため、効率向上と信頼性の向上が求められている。受賞したタービン発電機は従来機と比較し、「冷却性能改善による大出力化」「高効率化」「コンパクト化」を達成した。水素間接冷却タービン発電機では、固定子コイルおよび回転子コイルで発生する熱を、効果的に取り去ることで大出量化ができるため「絶縁の熱抵抗低減」「通風路形状の最適化」などでこれを実現。また「高効率ファン」「低損失軸受」「端部渦電流損失低減」などにより損失を低減し高効率化を追求。さらに水素ガス冷却器の熱交換性能を従来機から約30%改善するなどし、冷却器の最適配置などで発電機の外径を従来機から約20%縮小させている。

また、優秀賞の「重電部門」では、「世界最高耐圧の超高耐圧素子を適用した世界最小GIS用避雷器の開発」で東芝の春日靖宣氏、深野孝人氏、「家電部門」では「『圧倒的省エネ性能』および『革新的気流制御搭載』のエアコン霧ヶ峰FZシリーズの開発」で三菱電機の手塚元志氏、福井智哉氏が受賞した。

ものづくり部門では「多品種少量向けモジュラー型設計・生産システム開発」で日立製作所の上野信也氏、青木敏雄氏が受賞。発電・交通・鉄鋼などの分野で用いられる同社の制御装置では、顧客ニーズにあわせ多品種少量生産が行われている。

一方、グローバル市場では標準モジュールの組み合わせ生産が主流になっており、カスタマイズ品でグローバル市場に打ち勝つために、低コストかつ高品質、短納期での設計や製造を実現する仕組みが求められていた。そこで、回路設計におけるカスタマイズ部(変動部)を色別で「見える化」し、変動部を展開するシステムを開発、下流工程(ハード設計・製造・品質保証)でのカスタマイズ対応にかかる工数を大幅に低減。また、設計・製造・品質部門が協調したプロセス改革とIoTによる生産実績データ分析手法を確立し、製品ごとの個別設計から全製品へ標準モジュールを展開する仕組みづくりを実現している。

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