カーエレを支える最先端のはんだ実装技術 (後篇)
■自動車のはんだ付には高品質と信頼性が必要
自動車は一歩間違うと人命に関わる社会的責任の大きい技術であり、故障やトラブルの発生を防ぐためにも品質や信頼性をとても厳しく評価されます。特に電子制御する部品や機能が増える中で、車載用電子部品のはんだ付には、一般的な電子機器のはんだ付よりも格段に高いレベルの品質・信頼性が求められます。
例えば、ある一定の接合強度にするためには、はんだ付をする際の温度も決まっています。通常のはんだ付では、この温度ではんだ付をしたという結果の証明があれば問題はないのですが、自動車産業ではきちんと一定温度ではんだ付をしているというプロセスの管理も求められます。
また、これまでのはんだ付は、基板に取り付けられた電子部品に対してでしたが、最近は機構と電子部品・基板がひとつになってモジュール化された“機電一体化”した部品が増えてきました。自動車メーカーにとってはモジュール化することで部品を共通化してコストダウンでき、省スペースや軽量化にも役立ちます。しかし、それを製造する側にとっては、従来と同じ品質を保ちながら、入り組んだ場所へのはんだ付や搬送方法を考えなければならず、今まで以上に高いレベルの技術を求められるようになってきています。しかも、自動車業界特有の課題として、高級車で搭載された機能や部品は、数年後には台数の多い小型車にも広がっていきます。ただ品質を担保するだけでなく、その品質のまま大量に生産するという技術も考慮に入れておかなければいけないという難しさがあります。
■専業40年の実績 自動車メーカーと関係強化
当社は、はんだ付専業メーカーとして40年の歴史があります。自動車の電子化が進む以前から、自動車メーカーやサプライヤーと協力関係を築き、高品質なはんだ技術の確立を行ってきました。今では顧客の求める品質などの要求を理解し、それを解決するための製品とスタッフ、設備などをそろえており、あらゆるはんだ付に関する悩みや課題を解決することができます。
例えば、東京には専用ラボがあり、はんだを知り尽くしたスタッフの経験と知識を生かし、ハイスピードカメラやエックス線検査装置、CTスキャンなどの最先端機器を駆使して品質のチェックや技術の研究・開発をしています。また、名古屋では日本溶接協会が認定するマイクロソルダリングインストラクターの資格を有する複数の専門技術者がソルダリングスクールを開催しており、はんだ基礎から応用技術までを教えています。
東京、大阪、名古屋では最新鋭のはんだ付自動機を取りそろえたデモルームがあり、日々、世界中から先端製品のテスト依頼が持ち込まれます。当社では、こてからレーザー、超音波へと新たなはんだ付技術を取り入れながら、顧客の問題解決に対してチャレンジしていきたいと思っています。
■ジャパンユニックス(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。