■IPC導入事例 vol.1 日本精工
~自社規格との併用で品質向上とコスト削減を同時に実現 (前篇)~
日本精工(NSK)は、2016年、創業100周年を迎える、国内外の主要メーカーで採用されている、ベアリングのトップメーカーです。
車載市場では、1986年に世界で初めて電動式パワーステアリングをフォークリフトに搭載。98年からは、非接触式センサを組み込んだ電子式パワーステアリングを製造販売しました。08年に車載部品の機電一体化の流れを受けて、同産業へ一体化製品も販売。その際に、品質標準として採用したのがIPCの標準規格です。
IPCを導入した経緯とその効果について、自動車部品本部設計品質管理部武井利泰氏と、同グループマネージャーの佐藤浩一氏に話を聞きました。
–IPC導入の経緯を教えてください。
90年代前半、中国や台湾のサプライヤー技術者と話をした際、彼らの口から頻繁に「IPC」が出てきました。
IPCは、もともと、電子機器の組み立てと製造に関する米国の業界基準ですが、米国企業が海外へ生産委託を進めたことから、グローバルスタンダードへと広がりました。アジア諸国のサプライヤーは、発注元である欧米メーカーからIPCにのっとって製造を行うように指導されていることを知りました。
その中身も、国際規格であるIECとも深く連携しつつ、IECやJISより広く、細かく、深く規定してあります。そのため、世界の大手機器メーカーや部品メーカー、EMSなどの多くが、品質基準として当たり前のように使っていました。
電子機器を製造し、グローバルで展開するには、IPCの情報が欠かせないと判断し、自社規格と併用して採用することを決定しました。
–それまではどういった規格で製造していたのですか?
JISや仕入れ先や発注者ごとの基準に沿い、細かな部分は自社の品質基準の中で進めていました。しかし、JISは、最低限守るべき基準こそ定義していますが、すべてをカバーしているわけではありません。発注者の仕様書も同様で、様式やレベルもバラバラです。自社の品質基準については、これまでの経験則にもとづくものであり、あくまで主観的な目安でしかありませんでした。
海外での発注者側は、品質基準について、IPCを採用していることを発注条件とし、EMSなど受注する側も必ずIPCに対応していました。海外の自動車メーカーと取引をする上で、IPCは必要であり、2000年ごろから自社でもIPCの活用を始めていきました。
–どのようにIPCを活用していますか?
製造基準は、あくまで顧客の要求品質が第一。特に車載メーカーは、品質に対する要求は高く、顧客の要求品質は守りながら、国際規格であるIECやそれに準じたJISを採用。そこで規定されてない範囲は、IPCを採用します。
IPCは、これら全体を補完するものとしての役割です。実際の作業では、JISやIECを見ても分からない、判断がつきにくいケースが多々あります。そうした時の解決策としてIPCをとても重宝しています。
例えば、JISは字が多く、理解するのに時間がかかり、共有化するのには労力がかかります。一方で、IPCはイラストや写真が豊富ですので、ビジュアルで把握がしやすく、多言語化されて実質的なグローバルスタンダードとなっているため、海外スタッフとの認識統一もしやすいのが特長です。
具体的には、まず生産管理と品質管理の責任者であるリーダーや班長が、参考にするためのものとして各製造課に置いてあります。いわゆる参考書のように活用しています。
ラインで作業をする各オペレータには、IPCの品質条件を実際の現場向けにカスタマイズしています。実際の製品を使用した工程ごとの良品・不良判定を記した“指導書”を作っています。実際の現場と製品、作業や工程品の写真、イメージ、文章で再構成することで、さまざまなオペレータも、結果的に、IPCに準拠した作業ができ、多国に渡る生産現場で品質の統一化が図れるようになりました。
■ジャパンユニックス(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。