【政府の取り組みにも深く貢献 国家ITサミットの主要メンバー】
■ Industrie4.0のカバーする範囲
Industrie4.0はどこまでの範囲を対象とするのでしょうか?
第4次産業革命と聞きますと、真っ先に生産工場をイメージされるかもしれません。実際、日本企業の方々から「うちの工場ではすでにできていることも多い」といった話をお聞きすることがあります。
生産工場のスマート化はIndustrie4.0の主要テーマの一つではありますが、Industrie4.0の範囲をビジネスプロセスで見ますと、生産だけにとどまりません。開発、調達、物流、サービスまでをカバーし、さらには顧客、サプライヤー、ビジネスパートナーといった産業のエコシステムすべてを含む革新的な取り組みであると考える必要があります。
■ Industrie4.0の産官学の連携とSAPの貢献
このIndustrie4.0におけるSAPの貢献についてご紹介します。ドイツには、BITKOM、VDMA、ZVEIといった産業団体が事務局として運営する「Industrie4.0Platform」という活動があります。
ここには15の企業がエグゼクティブサークルメンバーとして参画しており、SAPもその中のメンバー企業の一つとして参画しています。これらのメンバーで戦略とフレームワーク、参照アーキテクチャ/基準や規範、研究とイノベーション、ネットワークシステムのセキュリティといったそれぞれのワーキンググループをつくり活動しています。
Industrie4.0へのアドバイス、サポートをする研究機関として主要な役割を果たすのが、将来の課題に対して技術的観点から提言を行うドイツ技術科学アカデミー(acatech)です。
このドイツ技術科学アカデミーの会長は、SAPの元社長兼CEOであるヘニング・カガーマンです。カガーマンは、上記のIndustrie4.0Platformにも参画しており、13年には「戦略的イニシアチブIndustrie4.0実装に向けた提言」を筆頭著者として発表しています。
この提言には、SAP SEのプロダクトイノベーションを統括するステファン・フィッシャー、SAPアジアパシフィックジャパンのインダストリーバリューエンジニアリングを統括するカースティン・ガイガー、SAP SEのディスクリートインダストリーを担当するぺトラ・コファー・ベンケなどが、ワーキンググループのスポークスパーソン、共同執筆者として参画しています。
また、SAPは政府との取り組みにも深く貢献しています。14年の国家ITサミットでは、「ドイツのデジタル経済」検討グループにSAP SEのボードメンバーであるグローバルCOOルカ・ムシッチ、「国家のITオファリング」検討グループにSAP Germanyの営業統括責任者であるハルトムト・トムセンなどが主要メンバーとして、グループをリードしています。
特に、国家ITサミットのワーキンググループの一つでもあり、Industrie4.0を実現するために重要となる研究と教育において、SAP SEのCTOであるバーンド・ロイケを主要メンバーとしてIndustrie4.0とSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)にフォーカスした教育とジョブマッチングを統合したプラットフォームを提供するNPO法人、The Academy Cubeを強力に支援しています。
SAP SEのSeniorVice Presidentで、IoTの共同責任者でもあるニルス・ハーズバーグは「SAP本社の従業員はすべて何らかの形でIndustri4.0に関わっているといってもいい」と言います。
上述したIndustrie4.0の範囲は、まさしくSAPがこれまで統合的にカバーしてきた企業のビジネスプロセスそのものであり、SAPの製品、サービスのすべてがIndustrie4.0を支えるソリューションとなり得ます。また、SAPは昨年からIndustrie4.0に大きく影響を与えるIoTの専任組織を500名規模で立ち上げています。
このように、SAPはIndustrie4.0を実現する技術、体制、知見を持ち、皆さまをサポートしたいと考えています。ぜひ、われわれとともに日本におけるIndustrie4.0の意義を議論し、日本での活動の第一歩を踏み出しましょう。日本のさまざまな企業、政府、大学で、Industrie4.0に関する研究や日本での取り組みについての議論はもう始まっています。ご興味をお持ちの方は、SAPジャパンにお問い合わせをいただければ幸いです。
(SAPジャパン 大西嘉明)
SAPジャパンの超リアルタイムビジネスが変える常識