「第4次産業革命に向けた日独米ワークショップ」が10日、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の主催で、横浜市港北区の同大日吉キャンパスで開催された。2014年にドイツ、15年にアメリカで行われたワークショップで、インダストリー4.0やIoTに注目している約300人が参加した。
冒頭、同大学院SDM研究科の白坂成功准教授があいさつし「また連休中に日独共同声明で第4次産業革命を日本とドイツで密に進めていくこととなった。インダストリー4.0、IIC、IVIなど実践的な内容が行われている。こうした場で進めていきたい」と話した。
午後に行われたスマートファクトリー スマートプロダクトワークショップでは、第4次産業革命のキーパーソンが登壇。シーメンスデジタルファクトリー事業本部プロセス&ドライブ事業本部の島田太郎専務執行役員事業本部長、コマツICTソリューション本部の浅田寿士ビジネスイノベーション推進部長、日本GEの新野昭夫インダストリアルインターネット推進本部長、PTCジャパン製品事業部の成田裕次執行役員、フエニックス・コンタクトのFrank・Knafla氏、Pepperl+FuchsのJorg・Nagel氏らが、各社の現在の取り組みを紹介した。
その後の質疑応答では、第4次産業革命が起きた理由について質問が飛び、「センサや通信技術などインフラの整備が整ったことが大きい」(シーメンス島田氏)や、「企業が今後、どうやって生き残っていくかを突き詰めた結果」(日本GE新野氏)、「20年前のERP導入時に似ている。コストはかかるが、経営に生きるだろうということで普及し始めている」(PTC成田氏)など、さまざまな見方を示した。
また第4次産業革命に向けて、どんな教育を人に施していけばいいのか? との質問には「判断する、メンテナンスをするなど人の仕事はたくさんある」(コマツ浅田氏)、「ユーザー企業側にITリソースが少ない。そこを改善しないと経営課題を掘り起こせない」(日本GE新野氏)、「ITと製造工程の知識が大切だ」(フエニックス・コンタクトKnafla氏)、「第4次産業革命は恐ろしいものではない。人の作業を簡単にしてくれるものだ。第4次産業革命を妨げるのは人がチャレンジしないこと。企業が手厚く教育することが大切だ」(シーメンス島田氏)、「働きやすくなり、逆に教育しなくてもよくなるかもしれない。またマスカスタマイゼーションが進むと、商品企画の業務は高度になる」(PTC成田氏)などと意見を述べた。
また午前の部の来賓あいさつでは経済産業省製造産業局の糟谷敏秀局長、基調講演で同大の村井純教授、ミュンヘン工科大学のビルギット・ボーヘル・ハウザー教授、シンシナティ大学のジェイ・リー名誉教授、アメリカ国立科学財団のデビット・カーマン氏、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社の加藤智秋氏が登壇した。
次回は来年4月にミュンヘンで開催される予定となっている。