富士通研究所は、無線LAN、Bluetoothなどの無線通信を使うIoT機器を現場に設置するために必要な期間を短縮し、安定した稼働を実現するフィールドエンジニアリング技術を開発した。2016年度上期中に富士通のコンサルティングサービスとして提供する予定。
IoT機器を導入する現場は、無線通信が不安定になる場合があり、専門家による現地調整に手間がかかり、導入・運用時の課題になっている。
同社は今回、IoT機器を設置する現場のレイアウトと行き来する人の状況を自動で取り込んで電波シミュレーションを行い、無線機器の設置位置を自動決定できる技術と、IoT機器の設置現場で使われている電波を自動分析し混雑の状況を可視化する技術を開発した。
3次元空間デジタイジング技術は、現場の複数の地点をレーザースキャン測定するだけで、複数の測定データについて歪みを自動補正して滑らかに結合し、電波シミュレーションに必要な3次元レイアウトデータを自動生成。これにより1週間かかっていた作業を2時間程度に短縮した。
移動人体のモデル化技術は、映像から人の流れを認識する技術を用いて自動計測し、人数別にパターン化したシミュレーション結果を適用することによって、3日要したシミュレーション時間を一般的なPCで15分以下に短縮した。
電波干渉可視化技術は、IoT機器を設置した現場で実際に使われている無線通信を自動識別して表示し、通信規格ごとに、チャネルや場所ごとの混雑状況を可視化する技術。これにより、IoT機器の適正な設置位置、データ送出間隔、チャネルの設定などを専門家でなくても簡単に決められるようになった。
これらの技術により、従来の3分の1程度の期間で無線機器を設置でき、素早いIoTサービスが実現できるようになる。