バスダクトやOAフロアメーカーの共同カイテック(東京都渋谷区、吉田建代表取締役社長)は、4月24日から29日まで開催されたドイツのハノーバーメッセに視察団を派遣した。現地の様子をレポートしてもらった。
■会場と出展企業
全26ホールのうち、会場として今回使われていたのは2~9、11~17、27ホールの合計16ホールだった。今回のパートナーカントリーであるアメリカからオバマ大統領が視察に訪れたため、初日の午前中は三つのホールが閉鎖されていた。シュナイダーやシーメンスなどのドイツ大手企業がこれらに含まれていた。
出展企業は、協力国であるアメリカはもちろん、中国企業の多さが目についた。日本企業は、オムロン、日立製作所が力を入れていて、それ以外はあまり目立たなかった。またシュナイダーやシーメンスなどドイツ大手企業のブースは大きく活気があった。CADソフトを展示している企業も多数あり、3Dプリンターは地元のテレビで特集を組まれるなど、ソフト関連のホールは他とは違う雰囲気だった。
■バスダクト関連の出展企業
バスダクト関連は、当初の調査以外にも複数の企業が出展していた。
(1) SchneIder ElectrIc(ドイツ)
バスダクトが出展されていたのは広いブースの中のほんの一部で、CanalIsが展示されていて、カタログはブース内に1冊も置いていなかった。屋外を想定しているのか、接続部がエポキシのようなもので覆われている断面があった。
(2) TAIAN-ETACOM TECHNOLOGY(台湾)
日本のパートナーシップ企業を探しているようで、親切に教えてもらった。ブスバーをエポキシで覆い、接続部にはエポキシレジンを流し込むことでIP68を実現しているそうだ。
(3) RTC-ELECTRO-M(ロシア)
ブスバーをエポキシで覆い、さらにケースで覆っていた。水槽にバスダクトを沈めてIP68をアピールしていた。
(4) LINKK BUSWAY SYSTEMS(マレーシア)
バスダクトダクト本体はポリエステルシートやチュービングを使用しており、ジョイナ方式を採用していた。
(5) C&S ElectrIc(インド)
他社同様、エポキシを使用しており、IP68をアピールしていた。
(6) VIbItech(ドイツ)
屋外はエポキシ、屋内はポリエステルシートを使用しているが、屋外から屋内に入る貫通処理部分が大きなエポキシでできているのが印象的だった。
(1) Daqo(中国)
ブース内の部分的な展示であったため詳細は確認できなかったが、絶縁タイプとエポキシタイプがあるようだ。
(2) CHONGQING YIWAN ELECTRIC(中国)
エポキシバスダクトのサンプルが展示されていた。
(3) NORELCO(フィンランド)
展示はされておらず、パネルがあった程度だった。
世界の屋外バスダクトの主流はエポキシだった。接続部にはエポキシレジンを流し込んで固めるため、簡単に改修することができないような気はするが、今回出展している企業のほとんどが採用しており、IP68をアピールしていた。
海外企業は各社カタログやパネルでASTAやKEMAなどの試験報告書を付けており、あらためて国際規格の重要さを感じた。
■OAフロア 屋上緑化関連
全会場を探してみたが、OAフロアに関係するような展示は一切なく、需要があるかまでは調査できなかった。屋上緑化関連は、展示会場には太陽光や風力発電に関するブースはあったが、屋上緑化を展示している企業はなかった。都心部を調査してみると、建物全面を屋上緑化しているところが多く、屋上に太陽光パネルを置いているところは全くない。ドイツでは屋上緑化の市場が太陽光に取られることがないので、大きな市場の可能性を感じた。
郊外には風力発電やメガソーラーがあり、環境問題に積極的に取り組んでいる国だと実感した。
■次回視察に行く人へ 治安と視察
ハノーバーは展示会ということで電車も含めスリがたくさんいて、恐らく集団でスリをしているものと思われる。クレジットカードやパスポートなどは必要がなければホテルのセーフティボックスに置いていき、持ち歩かないようにすることをお勧めする。
また、事前の情報では写真撮影はできないとのことだったが、交渉してみると撮影許可を得ることができるので、積極的に交渉すると良いと思う。また、カタログももらえないとのことだったが、ほとんどの企業でもらうことができた。
日本の絶縁バスダクトが当たり前と思っていた私にとって、ほとんどの企業がエポキシを使用していることを知ったことは衝撃的だった。今回海外のバスダクトを見ることができたことは、今後の規格課の活動においても非常に役立つと思う。