NTTデータとNTTデータエンジニアリングシステムズ(東京都大田区、木下篤代表取締役社長、NDES)は、日立造船と共同で検討を進めてきた、有明工場の大型機械加工設備の遠隔監視について、本格実証実験を開始した。
実験では、日立造船有明工場の基幹生産設備である大型5面加工機の主要部品に複数のマイクを設置し、稼働音データを収集。収集した稼働音データは、NTT研究所の音響信号分析技術を利用してNTTデータが開発した「稼働音解析システム」で分析する。正常時の稼働音と実際に取得した稼働音の乖離(かいり)度合いを自動判定して、設備の異常を検知する。
これにより、これまで工場内のさまざまな機械の稼働音や製品の加工音などが入り交じり、ベテランの保全技術者の耳でしか設備の異常音は聞き分けることができないと思われていた異常検知が可能になる。さらに、高さ10メートルを超えるような箇所の部品に関する稼働音を含めて対応でき、設備全体を網羅しより安定的な運用が行えるようになる。
NTTデータおよびNDESは、共同開発した機械加工設備の異常音を検知することで異常状態を把握する稼働音解析IoTソリューションを提供するとともに、生産業務改善に向けたコンサルティングやIoTプラットフォームの提供をはじめとする総合的なサポートを行っていく。2020年度までに100億円を目指す。日立造船は、IoT技術を活用した生産設備の故障予兆検知の実現によって、自社の生産設備に対して適切なタイミングで適切な内容のメンテナンスを実施することで、設備の稼働率向上と保全コスト削減の両立を進めていく。