富士通は、ものづくりに特化したAI活用基盤「ものづくりAIフレームワーク」を開発し、設計・生産現場でAI技術を活用するためのコンサルティングサービスを10月から開始する。
ものづくりAIフレームワークは、同社のAI技術「Human CenrIc AI ZInraI(ジンライ)」を実装し、学習データベースやAI処理エンジン、認証サーバなどから構成されるAI活用基盤。同社の製造現場での実践を経て、今回提供することとなった。
コンサルティングサービスでは、ものづくりAIフレームワークを使い、ユーザーのニーズや製品特性にあわせて、収集するデータの選別や、予測精度向上のためのデータチューニングなどを行いながら、ものづくり現場へのAIの導入を支援する。
具体的な活用例として、電気系設計におけるプリント基板の設計支援(基板層数の見積もり)では、AI活用により、新製品の部品数や基板サイズなどの特徴を入力するだけで、学習データベースから必要なプリント基板の層数を予測。設計工程を約20%短縮している。
3Dモデルの類似部品検索では、例えばネジの3Dモデル検索において、従来の類似度算出の手法では検索精度が68%だったのに対し、AIを活用することで96%まで向上。過去の似た形状の部品を使っている設計データの流用や、障害時の原因となった部品の他製品への利用状況の検索など、さまざまなシーンで活用できる。
また、生産ラインにおける画像認識で、AIを使ってプログラムの自動生成が可能。部品の位置や姿勢を検出するプログラムにおいて、正解データを学習し、高い認識精度を実現するプログラムを自動で生成。社内事例では、画像認識専門エンジニアがプログラムを開発した場合と比べて、プログラムの開発期間を10分の1に短縮し、画像の認識精度を97%まで向上させた。
同社は2018年度末までに、コンサルティングサービスで15億円の売り上げを目指す。