ボッシュは8日、年次記者会見を行い2015年度の日本国内の売上高は2700億円に達し、16年は日本市場でIoTソリューションをはじめとする成長分野に注力することを明らかにした。
同社の15年度の日本国内での売上高は約2700億円(約20億ユーロ)。中国の景気減速等により前年度比3・8%減だったが、日本の自動車メーカーに対する全世界での売上高は前年比17%増となった。
16年は自動運転や二輪車市場、IoTソリューションなど成長分野に力を入れる。特にIoTソリューションは、すでに同社はインダストリー4.0をはじめ、自動車や輸送機器、産業機器、消費財、エネルギー、建築など各業界でIoTソリューションに取り組み、世界中で展開している。日本でも、ボッシュ グローバルサービスソリューションズ、ボッシュ ソフトウエア イノベーションズの二つのビジネスユニットが16年に活動を開始した。
ボッシュ グローバルサービス ソリューションズは、乗用車向け緊急通報サービス「eCall」を、日本国内で提供を開始する。自動車が事故の衝撃を検知すると自動的に救急サービスに通報するもので、手動でも支援要請ができる。すでに世界41カ国で提供している。
ボッシュ ソフトウエア イノベーションズは、日本の産業用IoTに向けて16年に東京支社をオープンした。トーマス・ヤコブアジア太平洋地域担当プレジデントは「日本はスマートシティの分野で世界のリーダーとなり、現在発送電事業や製造業へのIoT技術の導入を推し進めている。科学教育水準が高く、政府の強力な支援がある日本は、IoTソリューション市場として非常に有望だ。当社の強力な技術プラットフォームと、事業領域に関する幅広い専門知識、とりわけインダストリー4.0ソリューションのリーダー的役割から得た経験知識があれば、IoTへの投資がもたらすリターンについて日本の顧客にも短期間で理解してもらえるだろう」と話している。
さらに、大学や政府機関との協力を強化し、IoTを生かした新規事業分野の開拓を進める。例えば、千葉大学と筑波大学と連携したスマート農業プロジェクトや、IVIやIoT推進コンソーシアムなどの団体とも提携を進めている。