日本の製造業の強みを世界に発信するために、関連工業会が取り組みを強めている。「製品や技術が優れていれば黙っていても売れる」という方針から、「積極的にアピールしないと海外市場では選ばれない」という方向に認識を変えてきていることが背景にある。工業会が音頭を執ることで会員企業の結集にもつながるという相乗効果も生まれる。
日本電気制御機器工業会(NECA)は、今年度の活動計画の一つとして、会員企業のグローバル展開を支援するWebサイトの拡充を盛り込んでいる。日本企業の優れた制御機器も海外では購買情報に載らずにビジネスチャンスを逃している製品が多い。特に中小企業の認知度は低く、採用時の選択の場も与えられずに、海外の大手メーカーや地場のローカルメーカーが選ばれることが増えている。
規格や言語など、日本メーカーとしてのハンディがあるものの、不参加で商談の機会を逃していることも多く、日本企業の売り上げが伸び悩む一因になっている。
NECAでは以前、「NECA GATE」という製品サイトを開設していたが、日本語のみであったこともあり現在は閉鎖している。
そこで「メーカー最新情報サイト」を拡充しながら、海外ユーザーを呼び込める英文の制御機器検索サイトの新設を計画している。
これによって、日本語以外での情報発信力を強め、国内外での選択機会の増大を進める。
また、日本電気計測器工業会(JEMIMA)でも英語のWebサイト充実に向けた活動を強めている。
現在、JEMIMAのWebサイトに海外からメール問い合わせが増えている。日本国内での販売店紹介依頼や、日本の製品・メーカーの紹介依頼などが多い。また、JEMIMAの掲載内容が最新に更新されていない部分もあるため、的確な回答につながっていないこともある。
JEMIMAでは、工業会内の各委員会を交えて今年度検討していく。
市場のグローバル化と新興国の技術レベル向上などもあり、「日本製」だけでは市場の優位性が得られにくくなっている。
工業会の活動意義を高める意味からもこうした取り組みは重要となってきそうだ。