【バンコク週報特約】日本能率協会(JMA)はこのほど、「第1回GENBA(現場)マネージメント・カンファレンス&アワード2016」をバンコク国際貿易展示場(BITEC)で開催した。同社は現場マネージメントに関するセミナーを日本ですでに35回行っており、昨年は約800人が参加するなど日本の産業界育成に寄与している。
今回のタイ開催は海外での初開催となる。山口範雄JMA会長は「今後も継続していく。在タイ日系製造業の優良事例を共有しタイの製造現場力向上に寄与したい」と話す。そして、次の段階としては、タイの優良企業の事例を共有することで、タイ企業の製造現場力向上にも貢献していきたいとのことだ。
今回のセミナーは在タイ日本企業12社からなるバンコク評議会が準備を進めてきた。事例を発表したのは、ダイキン工業、マツダ、トヨタ紡織、三菱電機、コマツ、日産自動車の6社。それぞれが作業行動を分析しシステムを変更することで生産性向上・時短を実現した現場改善方法を発表した。
一例を挙げると、
◯ 従業員が現場で製品を上げ下げしなくて済むよう、もしくはかがむ姿勢を排除し立ったまま一連の作業ができるようレイアウトを変更して時短を実現。従業員の健康改善にもつながった。
○ 片手作業から両手作業を可能とする、もしくは現場で歩く距離を減らすレイアウトにすることで生産効率化および時短を実現した。
ただ、改善活動の課題として挙がったのが、生産性効率化により失業を恐れる従業員への対応。これについては全社的なシステム変更であり、個々の解雇にはつながらないことを理解してもらうことが必要という。
また雇用の多い工場の場合には毎月退職者が出るため、その際に新規雇用の必要がなくなるうえ、人手の足りない部署に人手を回すことで残業を削減できることも効率化の利点として挙がった。
さらに改善内容はボードに記載することで「見える化」し現場で共有する点が重視された。従業員の提案を実現できない場合にはその理由を張り出すとの報告もあった。
なお。改善活動では「金使わず頭使うことが大切」との声もタイ人管理職からは聞かれた。