ジャパンユニックスのはんだ付技術基礎知識(7)

■レーザー照射とはんだ供給だけで物理的負荷をかけない
【進化・発展する新はんだ付技術 “レーザー” (後編)】

■ピンポイント加熱で超微細部品や高密度実装に最適「レーザーはんだ付」

■ 温度が高すぎても低すぎても下がる強度・信頼性

はんだは温度条件によりその組成の状態が変わるため、適正な温度ではんだ付をしないと十分な強度・信頼性が実現できません。例えば、適正温度ではんだ付された場合、はんだの内部組成は加熱する前とほとんど変わりません。しかし、過剰加熱した場合、組成変化により強度も信頼性も下がってしまいます。

またフラックスは、流動性が温度によって変わります。例えば適正温度で加熱した場合、初めにはんだ付部位にフラックスが流れ込み、周辺の酸化物や汚れを除去しはんだのなじみを良くします。一方、過剰加熱しますと、はんだが先に流れ込んでしまいフラックスの流れを止めてしまいます。さらに、過剰な加熱は基板にもダメージを与えやすく、基板内部にひび割れを起こしてしまいます。

昨今、ただ単に新しい技術だからと言ってこてはんだ付からレーザーはんだ付に置き換える例を拝見しますが、もともとの加熱原理が異なるレーザーの特性を理解したはんだ付を行わないと、レーザーの利点を消してしまうことになりかねないので注意が必要です。

■レーザーはんだ付のメリット

レーザーはんだ付は加熱条件の設定を入念に行うことで、こてはんだ付の苦手な分野を補完し、これまで不可能だったはんだ付もできるようになります。

▽レーザーはんだ付の特徴
(1)非接触で基板への負荷を減少
(2) 効率的な加熱とはんだ供給で自動化しやすく、安定したはんだ付が可能
(3) メンテナンス性が高い(ほとんど不要)
(4) ピンポイントではんだ付できる(こて先が入らない狭い場所や高密度実装に強い)

レーザーはんだ付は“非接触”であることが最大の特長です。基板にも電子部品にも一切触れず、レーザー照射とはんだ供給だけで物理的負荷をかけることなくはんだ付ができます。効率的にピンポイントで加熱できることも大きな強みで、狭い場所や高密度実装に適しています。また消耗品が少ないのも特長で、こて先の交換など日々のメンテナンスの手間が軽減できます。

■ レーザー、こてはんだ付を使い分ける時のポイント

レーザーはんだ付は比較的新しい工法ではありますが、こてはんだ付の代替技術ではありません。熱変換理論の違いを理解し、それぞれの特性・強みを生かして用途に応じて補完・使い分けることが重要となります。

レーザーはんだ付は、効率的にピンポイントで加熱できるのも大きな強みです。こてはんだ付の場合、こて先の大きさという物理的な制約用件が存在しますが、レーザーはんだ付はそれがありません。狭い場所や入り組んだ場所、高密度実装で部品同士がほぼ密着するような場合はレーザーはんだ付を使うのが効果的です。

一方、大型部品など高熱容量を必要とするワークへはんだ付する場合は、こてはんだ付が生きてきます。反射率が高い材質ではレーザー光を反射してしまって熱が上がりにくい特性があります。その点、こてはんだ付はこてから熱を伝えるので高熱容量部品でも十分な加熱が可能です。

■広がるレーザーの利用シーン

当社のレーザーはんだ付装置は2000年に製品化に成功して以来、スマートフォンなどの電子機器、医療機器などへ数多く導入されてきました。同時に、実験や検証、評価試験を通じて接合強度と信頼性、安全性などのデータを取得し、こてはんだ付と同様に導入する価値のあるはんだ付技術であることを実証しています。しかしながら、レーザーはんだ付は決してこてはんだ付の置き換えではありません。レーザーは一度試したがうまくいかなかった、難解なはんだ工程を自動化したい、新たな工法を取り入れたいなどのご要望がありましたらぜひ当社までお問い合わせください。

〈問い合わせ〉㈱ジャパンユニックス
TEL03-3588-0551
■ジャパンユニックス■(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
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