日本電機工業会(JEMA)は、製造業の世界的変革に電機業界としてどう対応していくのかの提言書「製造業2030」をまとめた。提言書では、製造業の変革に影響するトレンドを分析。IoTの進化を取り込んで顧客価値をつかみ、製造プロセスを最適化する形態を「FBM(フレキシブル・ビジネス・アンド・マニュファクチャリング)」モデルとしてまとめた。JEMAではこのモデルを公開するとともに、今年度は関連団体とも連携しながらさらに検討を加える一方、セミナーなどを開催し理解を深める活動を展開していく。
ドイツが目指している製造業革新戦略「インダストリー4.0」、米国を中心に展開されている「IIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)」をはじめ、IoTを活用した製造業の革新の動きが世界の主要国で広がっている。
JEMAではこうした動きに対応して2015年8月、「スマートマニュファクチャリング特別委員会」を発足させ、ビジネスや製造業の革新における電機産業の課題を分析し、戦略を立案に取り組んできた。
同委員会では、ワークショップやワーキンググループによるトレンド分析、専門家によるプレゼンテーションなどを通じて、結果をマップ化。
また、昨年12月にJEMAなどで主催したSCF(システムコントロールフェア)では中間報告として、「製造業に影響するトレンド分析」セミナーの開催や、JEMA会報では「スマートマニュファクチャリング特集号」として発行するなどの活動を行っている。
今回まとめた提言書では、製造業の将来像をIoTの進化を取り込んで顧客価値をつかみ、製造プロセスを最適化する形態を「FBM」モデルに基づいてスマートマニュファクチャリングの要素を分類。分類した各分野での活動を具体化していく。
製造業の各分野においては、協調領域と競争領域を分類し、協調領域において工業会としての活動を推進する。
例えば、電機製品をIoTの活用でビジネス化する方式などを検討していく。
スマートマニュファクチャリング特別委員会では今後、製造業に要求される課題を共通認識し、技術の内容を分析して委員会の具体策を検討するとともに、FBMのモデルの構造を深化させて、目標とする製造業の将来像を明確にしていく計画だ。
同時に、ロボット革命イニシアティブ協議会や日本電気制御機器工業会、日本ロボット工業会、電子情報技術産業協会、インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブなどの国内団体や、海外のIIC、ドイツ電気・電子工業連盟などの海外団体などとも連携しながら参画していく。
今秋には関連セミナーの開催も計画している。