■航空・宇宙業界で求められる最高難度のはんだ付品質 (前編)
【極限環境でも揺るがない】
■ 最先端航空・宇宙技術を支えるはんだ実装技術。電子機器の塊がマイナス50℃の極限環境を飛ぶ
昨今、航空機や宇宙産業では、電子制御化が進み、搭載部品が増えたことにより、はんだ付の必要性も増加している。高度1万メートルや無酸素下という極限環境で、安全な飛行を続けるには、電子制御が確実に機能することが大前提となる。そのためには、極限環境でも揺るがない高品質なはんだ付が重要な意味を持つ。
■ 地球上で最も厳しい環境下で使用される電子機器
高度1万メートル超の世界は、気温マイナス50℃、気圧240ヘクトパスカルという極寒・超低気圧の極限環境。さらには、時速100キロ以上の強風が吹き荒れ、時には、時速300キロも超えるジェット気流もあるという。その極めて厳しい環境の中を航空機は時速800キロ超で安全に飛行しなければならない。
航空・宇宙機は潜水艦と並んで、地球上で最も厳しい環境下で使用される精密機械である。当然のごとく、その設計は非常に特殊で、そこに搭載される部品やその製造技術は、世界でも最も厳しい安全・品質が求められる。
通信装置や自動操縦、航法援助装置、記録装置といった航行に関係する装置、機内環境を整える与圧装置や空調には高精度の制御が求められる。また、食事や飲料を調理する際のオーブンなどギャレー類、機内のエンターテインメント端末といった機内サービスの充実化でも多くの電子機器が搭載されている。
■ 航空機向けのはんだ付課題、進む鉛フリー化
航空機向けの電子基板は厚く、大電流が多い。その上、搭載部品は小さくて熱に弱く、それらを狭ピッチ、高密度で実装するという困難な場合もある。そのため、多くの顧客がジャパンユニックスのレーザーはんだ付を採用している。これまで、はんだ付ロボットやレーザーは大量生産品に使用されてきたが、昨今、その品質の高さと安定性から高品質を求めるユーザーへの導入機会が増加している。
グローバル市場では、航空機向けのはんだ付を、すべて鉛フリー化するという動きがある。家電やデジタル機器などでは鉛フリーが当たり前だが、航空機業界では信頼性の面から鉛入りはんだの使用が認められてきた。それが2018年には禁止になり、欧米の航空機業界では対応に迫られている。
一方、日本では家電や車載メーカーの多くが2006年のRoHS公布の段階から鉛フリー化を推進し、今ではほとんど鉛フリーに移行が完了している。ジャパンユニックスは、主要顧客である各産業のトップメーカーと共に鉛フリーのロボットはんだ付の知見を蓄積している。特に同社の主要取引先である自動車や産業機器でのはんだ付は、航空・宇宙機器に次ぐ厳しい環境下で使用される製品であり、それらのノウハウは数多く航空・宇宙産業に応用されている。(次号に続く)
■ジャパンユニックス■(東京都港区、河野正三社長)
1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
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