富士通と富士通システムズ・イースト(東京都港区、石川享代表取締役社長)は、TOTOのベトナムの拠点であるTOTOベトナムの工場で生産する衛生陶器の生産効率を向上させるため、原料と紐づけて全工程の生産状況や品質情報を可視化するIoTの仕組みを開発。7月1日から稼働を開始した。
同システムは、素材調合や収縮率の調整など繊細な作業が必要とされる衛生陶器の製造現場を革新するもので、ICタグなどを活用して仕掛品の進捗・品質情報だけでなく、作業手順など熟練工のノウハウを含むあらゆる情報を収集し、デジタル化している。
仕掛品や各種設備に貼られたICタグやバーコードを通じて、原材料の調合から検査に至るまでの全工程の品質や進捗情報だけでなく、原料調合時の湿度や温度、衛生陶器に吹き付ける釉薬の種類など、あらゆる実績情報を収集。製品一つ一つのトレーサビリティをリアルタイムに把握し、製品出荷後も製造時の品質情報を把握できることで、問い合わせにも迅速に対応できるようになるなど、現場作業の効率化を実現。
また品質管理のために水洗便器の前後左右上下の6方向の図面をタブレット上に表示させ、不具合の位置や状態を瞬時に登録、確認が可能。タブレットを通じてサーバに蓄積されたデータの活用により、不具合が発生しやすい部位の傾向や起因する設備、環境の要素をデジタルに把握でき、製造プロセスの改善につなげることが可能となった。
作業員が検査情報を入力するタブレットは、わかりやすい図面表示やタッチ入力機能など操作性を重視した独自開発のアプリケーションを搭載。タブレットの入力画面は実際に現場の作業員に操作してもらい、見やすさや操作性を確認し、文字の大きさから入力項目の配置、キーボードのサイズに至るまでTOTOと共同で作り上げた。製造現場にIoTを導入したことで、データ化が難しかった熟練工のノウハウの可視化や統計的なデータの活用による分析が可能になり、高品質な製品の安定的な生産につなげていくことができるようになっている。
さらに、同工場では、システムの導入により、熟練工の作業手順や検査結果、指摘内容などのこれまで可視化されていなかった情報を共有でき、作業者同士の意見交換やコミュニケーションを活性化。現地社員自らが現場改善を行う積極的な活動を促し、人材育成につなげている。