■海外工場合理化へ向けた進出企業の選ぶ道 転換期迎える“世界の工場”中国
グローバル化が進むこの時代、特定地域市場のみに頼っていては生き残っていくのは困難です。さまざまな文化が混在する製造業においても、異なる商習慣の中で、製品の安定供給を行うには多くの苦労が存在します。
自動車をはじめ、家電やデジタル機器など、エレクトロニクス化が進む中、欠かせないはんだ実装技術。今回は、海外工場におけるはんだ付工程の合理化・効率化とその効果についてレポートします。
■人件費の高騰。人材確保の難しさ「海外工場の合理化へ」世界が直面する転換期
中国は10億人超の安価な労働力と巨大な消費市場を背景に、“世界の工場”と言われるほどに工場集積が進みました。しかし、近年の急激な経済成長によっていまその転換期に直面しています。
この十数年、教育水準の上昇によって、単純労働を行う人材が減少しました。人件費高騰の結果、安価な労働力という優位性が変化しつつあります。中国資本企業の成長、生産技術や労働者レベルの向上にともない、労働市場における人材の流動性が高まり、優秀な人材の確保は困難になる一方です。
■「中国国内にとどまるか、海外移転か、国内回帰か」3つの選択肢
では、この状況に対し、企業はどのように対応しているのでしょうか?主に3つのパターンに分かれます。
1つは『中国国内に留まり、品質及び生産性の高い生産ラインを実現する』です。
10億人超の中国市場はいまだに魅力的であり、その市場で生産することは販売の面でも大きなメリットとなります。しかし、人件費の高騰は切実な問題です。低品質低価格という中国の状況は変わりつつあります。
中国で生き抜くために、多くの企業は既存工程を半自動化し、人件費を抑えつつ、より付加価値の高い上位機種を生産し、利益率の高い販売モデルへとシフトしています。
2つ目は『さらに人件費の安い地域へ移転』です。
東南アジア、バングラデシュやミャンマーへの拠点進出が近年増加しています。一時的には、安価な労働力により生産コストを削減することができます。ただ、中国で過去10年にかけて蓄積された教育レベルや品質の安定化などをゼロから構築する必要が出てきます。教育・インフラなどの再投資を考慮すると必ずしも生産コストを抑えるとは限りません。
そのため、「新」新興国では、生産ラインをはじめから自動化する傾向が見られます。品質に影響を及ぼしにくい工程は人が、及ぼしやすい工程は部分自動化し、安定した生産量と品質を確保します。
3つ目が『海外から国内に戻る』です。
国内生産の場合、高品質の材料や部品が手に入りやすく、インフラが整っています。また、教育水準の高さは海外生産とは比較できません。しかし人件費や材料コストの高さがネックです。
この場合、立ち上げ時から完全自動化を前提とし、無人もしくは少人数により、24時間稼働の運営体制を構築します。近年、日本のみならず北米でも見受けられる傾向です。
どの選択を取るにしろ、さまざまな点から生産工程の“合理化”は避けられません。特に製品が高機能化し、はんだ付が複雑化しつつある中、ロボットだけではない“自動化”のノウハウが注目されています。
■ジャパンユニックス■
(東京都港区、河野正三社長)1974年の創業以来、最新鋭の分析機器を活用してはんだ付に関する基礎研究を進める一方、レーザーや超音波はんだ付など最新技術を取り入れたはんだ付装置の開発を行っている。世界各地の車載部品、スマートフォン、EMSをはじめとする主要メーカーに数多くの技術支援を行っている。
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