アクセンチュアは、IoTやスマートファクトリーといった人と機械を連動させた製造体制(コネクテッド・インダストリアル・ワークフォース)に関する調査リポートを公開した。リポートでは、自動車メーカーや産業機器メーカーの94%が、コネクテッド・インダストリアル・ワークフォースの形成を自社のビジネス戦略の一環と捉え、今後5年間の投資額は自動車業界では1810億ユーロ(約21兆円)、産業機器業界では390億ユーロ(4.5兆円)に達すると予測している。
リポートでは、自動車メーカーや産業機器メーカーの9割以上がコネクテッド・インダストリアル・ワークフォースを重視して巨額の投資を検討し、そのインパクトの大きさを確信。同社のインダストリアル部門におけるグローバル統括のエリック・シェイファー氏は「デジタル技術に投資して競争優位性を高めている事業者は、後発企業に比べて2倍近い資金を投資している。今後5年間でその額はさらに上昇する」としている。
回答者の85%が「製造分野におけるテクノロジーが、人間主体から、人間と機械の両方が主体のものに進化する」と考え、多くの企業が労働力強化のための投資に注力し始めていると指摘。工場や倉庫で資材を運搬するモバイルロボットの無人搬送機等に対してすでに多くの予算を投じており、今後も継続的な投資が見込まれている。さらに、スマートグラスやスマートヘルメットといった拡張現実(AR)デバイスへの投資も今後5年間で増加していくとみている。
また、セキュリティへの懸念に関しては、多数の回答者が「既存のIT基盤のアップグレードに向けた投資を行っている」と回答。そのうちの多くが「スキル不足を補うための新たな人材の採用活動をすでに開始している」と回答した。
同リポートでは、妥当な研究開発投資額について国による違いが見られる点を明らかにしている。米国ではコネクテッド・インダストリアル・ワークフォースに対する投資を研究開発費の40%と想定しており、調査対象国でトップ。次いで高いのが中国で、23%がこの分野に向けられると予測している。日本は17%程度で、ドイツとフランスはそれぞれ、20%と19%となっている。