Q
ロボットの可動範囲外での操作(教示でないと思われる)について、特別教育を受けていない者が、ロボットの原位置復帰操作(位置や速度修正ではない)だけを行った場合、違反行為になるのか?
A
安衛則第36条第31号では特別教育の対象者は、可動範囲内において教示作業を行う者、および可動範囲外で教示作業を補佐する者に対してのみ行うと規定されており、本件(原位置復帰作業)は教示作業ではないことから、特別教育の対象外であり違反行為にはなりません。
しかしながら、例えば全くロボットの知識がないアルバイト等に対し、「ロボットがこの位置で止まっていたなら、このボタンを押して原位置復帰操作をしておいて」と頼んだ場合、当該アルバイトは不安ではないでしょうか。原位置復帰ボタンのほか多数の操作ボタンがついていたならどうでしょうか。特別教育を行えとまでは言いませんが、ロボットに関する基本的知識は雇い入れ時教育や作業転換時教育等で実施すべきだと考えます。
なお、雇い入れ時等の教育では、(1)機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること(2)安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること(3)作業手順に関すること(4)作業開始時の点検に関すること(5)当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること(6)整理、整頓及び清潔の保持に関すること(7)事故時等における応急措置及び退避に関すること、(8)以上のほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項、を教育しなければなりません(安衛則第35条第1項)。
出典:「産業用ロボットQ&A 100問」白﨑淳一郎著/労働新聞社刊(1,400円+税)
■白﨑淳一郎Junichirou Shirasaki
一般社団法人白﨑労務安全メンタル管理センター 代表理事
1947年北海道函館生まれ。1975年福島県で労働基準監督官として採用後、福島県相馬、東京八王子・上野・足立労働基準監督署長、東京産業保健推進センター副所長など務める。2007年より中央労働災害防止協会東京安全教育センターの講師としてRSTをはじめ、多くの講座で講師を担当。