国土交通省は、造船業における第4次産業革命とも言うべき「i-Shipping」の実現に向け、平成28年第2次補正予算では革新的生産技術の導入促進のために2億3200万円の予算を計上した。自動溶接ロボットの導入などの支援を通じて造船業の復権に向けた取り組みを進めている。
1950年代、日本の造船業は世界の50%を占めていたが、80年代に韓国、90年代に中国が急速に伸ばし、いまでは20%程度に落ち込んでいる。近年、荷物が動く量に対して船が積める積載量が上回った影響で中国・韓国が低迷する中、日本は高い生産効率と省エネ性能の高さによりシェアが回復傾向に向かっている。こうした背景のもと国土交通省では、25年にシェア3割、売り上げ8兆円、1万人の雇用増を目標として「i-Shipping」を進めている。
製造工程ではIoT活用を積極的に進め、造船工場の見える化システム等の実証試験を行っている。例えば、モニタカメラを使った動静把握や不測の事態の監視や、危険区域への誤侵入を警告するセンサと警報装置、現場作業者へのウェアラブル端末やタブレットを使った健康管理や作業指示の効率化、現場管理者や管理室における作業の進捗や設備稼働の把握や配置最適化など。さらに、資材置き場ではRFIDを使った在庫管理なども行われている。さらに、大気汚染や騒音、振動計測といった作業環境の測定も進んでいる。
また、今回の第2次補正予算では、人工知能を使った自動溶接ロボットなどといった、さらなる製造の高度化を実現するための導入支援に予算を計上。さらに、船型の開発の効率化のための試験設備の整備なども進めていくとしている。