■検証・トライアル導入が活発化
第4次産業革命の進展に伴い、FA機器の需要拡大が期待されている。現在は、試作や一部ラインへの導入に止まっているが、今後数年のうちに、導入範囲は飛躍的に拡大すると見られている。
富士経済(東京都中央区、清口正夫代表取締役)は、インダストリー4.0やインダストリアルインターネット、スマート工場など「ICTを活用した次世代型ものづくり」に不可欠なFA機器・システム29品目の世界市場を調査した。
調査によると、インテリジェント化した生産システムやコントローラ、製造装置、セキュリティ、セーフティシステム、ネットワークといった次世代型FA機器・システム市場は、2015年に1兆9800億円だったものが、22年には6兆9616億円に拡大すると予想。
「15年は、ERPを含むインテリジェント生産システムの構成比が高い。現在、生産現場におけるIoTの導入検証・トライアルが活発であり、今後、インテリジェント生産システムが拡大するとみられる」(同社)としている。
特に注目したい市場としては、IoTプラットフォームとインテリジェントロボットを挙げる。IoTデータを収集・分析するためのプラットフォームは、15年の180億円に対して22年には2兆円になる見込み。現在は一部企業の一部業務に止まっているが、大手企業の導入が進めば、取引関係にある中小企業にも波及していくと見ている。
またインテリジェントロボットは、いわゆる人と一緒に働く協働ロボットのことで、組み立てや搬送などを示している。15年は166億円だが、22年には約13倍の2160億円まで成長。ロボットは生産品目の切り替えなどに対応しやすく、ABBや川崎重工業など各ロボットメーカーから協働ロボットが登場し、ラインアップがそろってきたことから、今後市場が拡大すると予想している。
■メイカーズ関連 17兆円規模の巨大市場に
調査では、メイカーズ関連市場もリサーチしている。メイカーズは個人でもDIYでメーカーになれるものづくりを指し、同調査では、関連のクラウドファンディング、クラウドソーシング、Web受託加工・生産、サプライヤー検索・マッチング、モノづくりeコマース、自動車EMSの6ビジネスを対象とした。
その市場規模は15年に1兆2768億円だったものが、22年には17兆1180億円と予想。スタートアップ企業、中小企業に加え、大企業の利用促進によって拡大していくと見る。
すでに大企業では試作加工、小ロット生産などに関して、既にメイカーズ企業への発注を開始している。今後、第4次産業革命によってマスカスタマイゼーションを追い風となる。