【第4次産業革命 制度研究会の報告書まとめる】
経済産業省は、第4次産業革命に向けた横断的制度研究会の報告書をまとめた。第4次産業革命では付加価値の源泉が「データ」に移るなか、企業同士が協調できる領域でデータや知的財産を共有してイノベーションを促進することが重要で、今後企業同士がつながるための「排他的でない」オープンなシステム構築と、その際の産業財産権システム、知的財産保護のあり方を検討していくとした。
同研究会は第4次産業革命への対応に向けて2015年1月から7月まで7回行われ、「競争政策」「データ利活用・保護」「知的財産」の制度のあり方について議論した。特に第4次産業革命では付加価値のもととなるものがデータになり、それを前提とした適正な競争のための制度や知的財産の保護の重要性を確認した。
なかでもデータ利活用・保護と知的財産に関しては、データの流通を促進するための市場づくりを加速するために、企業に対してデータが競合他社に渡ることを過度に恐れるのではなく、公開できる協調領域と秘匿すべき競争領域を整理し、協調領域でのデータの共有と共同を進めていくことを求めている。また、企業が保有するデータに関しても、その所在と権利関係の整理が必要で、その上でバランスのとれた柔軟な知的財産制度を構築し、企業間連携を進めてイノベーション創出につなげることの重要性を説いている。
製造業に関して中長期的な方向性として、日本の製造設備と機器の強みの情報を適切に活用し、日本発の「ネットワーク化」のモデルを構築して、欧米と協調してIoT国際標準化を目指す。また企業同士が連携するためのオープンな新たなシステム構築が必要であり、例えば、特定の状況下においては、企業自ら一部の権利行使を行わない宣言をするなど、知的財産の相互利活用を促進させる仕組みや権利行使の方法などを検討していくとしている。
具体的には、製造装置や機器等から得たリアルデータのプラットフォーム構築や、企業が協働してアルゴリズム等の高度化を進めるオープン・ソース・システムの推進、産業財産権システムのあり方、IoTの実装にむけた知的財産の協調利用の促進、新しい情報財に関する知的財産保護などを検討していくとしている。