【IoT推進C IIC オープンフォグ】
■日独米「国際基準」大きく前進
日本のIoT推進団体であるIoT推進コンソーシアムと、GEなどのインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)、マイクロソフトやシスコなどのオープンフォグコンソーシアム(OpenFog)が、IoTの研究開発において連携することが分かった。これにより、すでに連携を始めていた日独を含めてIoT先進国間の相互協力体制が整うこととなった。これまでの動きを振り返る。
■先行したドイツ インダストリー4.0 プラットフォーム
IoT分野への取り組みで先行したのはドイツだった。2013年にドイツ政府が「Industrie4.0」構想を策定し、それを受けてドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会とドイツ機械工業連盟、ドイツ電気・電子工業連盟の3つの業界団体が協力して、主に製造業領域のIoT活用を進める「インダストリー4.0プラットフォーム」を設立。メンバーにはシーメンスやKUKA、BMW、ダイムラークライスラー、ボッシュ、SAPなど、名だたるドイツの大手企業が名を連ねた。
製造領域のIoT化、デジタル化を国策として掲げ、世界をリードする製造技術と自動車産業の優位性を保ち、今後もイニシアチブを握るために官民が一体となっていち早く動いた。
■民間企業中心 ITからのアプローチをとったアメリカ
アメリカでは民間の大手企業、特にIT系企業が中心となり、IoTやデジタル技術を使ってビジネスを変革して主導権を握ろうという動きが中心となった。
IICは14年3月にGEが中心となり、AT&T、シスコ、インテル、IBMの5社で設立された。領域はヘルスケアやエネルギー、スマートシティ、輸送など広範囲にわたる。メンバーも国際色豊かで、会員226社(16年9月末現在)にはアメリカ以外のメンバーも多く、日本からも三菱電機や日立製作所、NEC、富士通、トヨタ自動車など多数の企業が参加している。
オープンフォグコンソーシアムは、ARM、シスコ、デル、インテル、マイクロソフト、プリンストン大学エッジレボラトリーによって15年11月に設立された。フォグコンピューティングとは「クラウドのポテンシャルを最大限に引き出しつつ、よりエッジに近い部分でインテリジェントな処理を行うという、新たなコンピューティングモデル」(シスコシステムズHPより)であり、IoTにおけるネットワーク遅延の問題を解決し、効率的な処理ができる手段として有望視されている技術である。
■必然?偶然?ドイツとアメリカ 製造業領域で連携
ドイツとアメリカは当初、注力領域が異なっていたが、次第に規模が大きくなって、参加企業も重複することが増えてきていた。
そのタイミングでインダストリー4.0プラットフォームとIICが接近し、15年3月にIoTの国際規格の策定に向けて協力していくことに合意。そしてその1カ月後のドイツ・ハノーバーメッセでは、アメリカをパートナー国に迎え、製造業領域で連携していくことも発表された。